2025年秋アニメに“アンドロイド少女”大量発生 ユウグレ、アルマちゃん、マリーなどの魅力

謎に満ちた機械仕掛けの戦闘美少女……『終末ツーリング』

アニメ「終末ツーリング」本PV|2025年10月放送!

 Nexus制作の『終末ツーリング』は、ヨーコとアイリという2人の少女を主人公としたSFロードムービー作品だ。誰もいない終末世界を舞台として、オフロードバイクに乗りながら廃墟と化した観光名所をめぐっていく様子が描かれる。

 アイリはダウナーな雰囲気ではあるものの、見た目は普通の少女。しかし第1話で暴走した戦車に襲われた際に、実は機械仕掛けの身体となっていることが明らかとなった。「セーフティロック解除」と口にするや否や右腕が兵器のように変形し、強力なレーザービームが放たれる……という描写は、いかにも“戦闘美少女”的でロマンにあふれている。

 とはいえ旅の道中で描かれるアイリの姿は、かなり人間くさい。たとえば第5話では、ヨーコが作ったカルメ焼きが膨らむ様子に目を輝かせ、そのカルメ焼きを頬張って満足げな表情を見せていた。テントを建て、2人で肩を並べて眠る姿も、普通の友達同士の旅と変わらない。

 なお同作は謎に満ちた作りとなっていることも大きな特徴。「世界はなぜ荒廃したのか」、「ヨーコとアイリは何者なのか」など、さまざまな秘密が隠されたまま物語が進んでいく。そこでアイリの存在は、何らかの謎を解く鍵となるのかもしれない。

ロボットと人間の境界を揺るがす『機械じかけのマリー』

TVアニメ『機械じかけのマリー』ノンクレジットエンディング映像 ⚙ マリー(CV:東山奈央)「Cross heart〜偽りのない気持ち」⚙

 最後に変わり種ではあるが、ゼロジー×リーベル制作の『機械じかけのマリー』にも触れておきたい。

 同作の主人公・マリーは、大財閥の御曹司・アーサーの屋敷にやってきた“機械人形”(ロボットメイド)。しかし実はその正体は人間の少女で、天才格闘家としての実力を買われて雇われたのだった。アーサーは極度の人間不信なので、マリーは人間だとバレないように奮闘しながら彼の命を守ろうとする。

 マリーは人間のように振る舞うアンドロイドとは反対に、ロボットのふりをする人間。乾電池でエネルギー補給してみせるなど、悪戦苦闘の模様がコミカルに描かれていく。

 その一方で「恋人モード」という体裁でアーサーとデートするエピソードでは、「人間のように振る舞うロボットのふりをする人間」という入り組んだ構造に。大げさな言い方をすれば、人間とロボットの境界線を揺るがせるような描写となっていた。

 なお第2話からは、本物のロボットメイドとして「マリー2」が登場。こちらはいかにもな挙動のロボットなので、そのギャップでなおさらマリーの悪戦苦闘が際立っている。

長年受け継がれてきた「アンドロイドの二面性」というテーマ

 ここまで4つのアニメを紹介してきたが、基本的にアンドロイド少女は“人間っぽさ”と“ロボットっぽさ”という矛盾した要素が共存していることが大きな特徴。とくに内面的な部分が人間に近く、身体能力などの外的な部分がロボットに近いというパターンが多いのではないかと思われる。

 こうしたアンドロイドの二面性は、ある意味古典的なものと言ってもいいだろう。古くは映画『ブレードランナー』や『攻殻機動隊』シリーズといった作品、そして最近のアニメでも『アポカリプスホテル』や『僕の妻は感情がない』といった作品でそのテーマが変奏されている。

 また直接的にアンドロイドという設定を出していなくとも、いわゆる「セカイ系」のアニメでは「一種の兵器として作られた戦闘美少女」という形で同種のテーマが扱われていた。『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイに始まり、『涼宮ハルヒの憂鬱』の長門有希に至るまで、現代から振り返ってもそのポテンシャルには底知れないものがある。

 なぜ令和になってこうした設定が復活の兆しを見せているのかといえば、AIの発達によって“人間そっくりなのに人間ではない存在”が身近になっていることが影響しているのかもしれない。だとすれば今後、アンドロイド少女の登場するアニメはますます増えていくはずだ。

 アニメという表現を通して、アンドロイドの可能性が無限大の広がりを見せていくことに期待したい。

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