『ぼくたちん家』が描く社会に隠された“ステレオタイプ” 3人の共同生活に新たな“波乱”が
ほたる(白鳥玉季)の頼みを聞き入れて、正式に親子のフリをすることになった玄一(及川光博)。彼らが住むアパートの敷地内で車中泊をすることになった索(手越祐也)も含めて、3人の奇妙な共同生活が始まった。しかし、ドラマ『ぼくたちん家』(日本テレビ系)の第3話では、玄一とほたるの親子計画を脅かす存在がやってくる。
玄一は早速、張り切って朝食におにぎりを振る舞おうとするが、索には「いつも食べないんで。大丈夫です」、ほたるには「親のフリは頼んだときだけでいいです」と制されてしまう。若干、空回り気味だ。
ただ、それで挫ける玄一ではない。いまだに物件が見つかっていない索には仲良しの不動産屋・岡部(田中直樹)を紹介して、甲斐甲斐しく家探しにも付き添おうとする。索は“距離感”をことさらに強調するものの、当たり前のように内見にまでついていく玄一。いつもは心優しい彼だが、好意を抱く索にはおせっかいに思える部分が目立っている。
内見中に明らかになったのは、索には両親がおらず、児童養護施設で育ったということ。ただ、彼はそこでの生活を「楽しかったな」とポジティブな文脈で振り返る。玄一が「頑張ってきたんですね」と言うと、索は「別に、みんな頑張ってるでしょ。ほたるさんだって、波多野さんだって。そんな特別じゃないですよ」とこともなさげに返す。
両親がいないことや児童養護施設で育ったことは、世間では「大変そう」「かわいそう」というイメージで語られることが多い。あらためて本作で描かれているのは、性的マイノリティへの差別や偏見だけではなく、社会を覆っているあらゆる“ステレオタイプ”なのだ。
一方、ほたるは相変わらず学校ではそっけなく、トーヨコに入り浸る生活を送っている。やりたいことはまだ見つかっていないようだが、ちょっとだけ自身の好きなものを素直に捉えることができるようになっていた。