宇野維正の映画興行分析
公開20週目に入った『国宝』、いよいよ実写日本映画歴代興収1位の座に王手
10月第3週の動員ランキングは、劇場版『チェンソーマン レゼ篇』『秒速5センチメートル』『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』『国宝』の上位4作品の順位に変動なし。初登場作品で最上位となった、5位『ストロベリームーン 余命半年の恋』のオープニング3日間の興収は1億円にも満たなかった。相変わらず、6月からの東宝配給(共同配給含む)作品の寡占状態が続いている。
先週末4位、『国宝』の週末3日間の動員は7万8000人、興収は1億1600万円。公開から136日間の累計動員は1164万8400人、累計興収は164億3600万円。公開20週目に入ってさすがに勢いは落ちてきたが、スクリーン数が減少する中で未だに高い客席稼働率を維持していて、今週に入ってもウィークデイの動員と興収はトップを走り続けている。
ちなみに週末を含む先週1週間の興収は2億9000万円。同じく先々週1週間の興収は3億3000万円。つまり、10月に入ってからも週約3億円前後のペースで数字を積み上げているわけで、いよいよ見えてきたのは実写日本映画歴代興収1位の座だ。現在の実写日本映画歴代興収1位は、2003年公開『踊る大捜査線 THE MOVIE 2 レインボーブリッジを封鎖せよ!』の173億5000万円。先週末終了時点での『国宝』との興収差は約9億円。現在のペースが多少ダウンしても4週後、11月の半ばには記録を更新する見込みだ。ちなみに、そこまでいってもアニメーション作品を含めた興収ランキングでは歴代8位。次に立ちはだかる7位の『ハウルの動く城』は196億円。さらにその次の『もののけ姫』は今週末から4Kデジタルリマスターが施されたIMAX上映が始まるので、現在の201億8000万からさらに数字が上積みされる。
日本公開の約1ヶ月前、今年5月にカンヌ国際映画祭で世界初上映された『国宝』だが、来月にはフランス、韓国、そして北米と海外の主要マーケットでようやく一般公開も始まるので、国際長編映画賞の日本代表作品に選出された来年のアカデミー賞の行方と合わせて、今後もしばらく話題には事欠かないだろう。アニメーション作品のような、客足が落ち着いてからの来場者プレゼントによるブーストには期待できないものの、「実写日本映画歴代興収1位」の称号は宣伝的にもきっと追い風になるはずだ。
■公開情報
『国宝』
全国公開中
出演:吉沢亮、横浜流星、高畑充希、寺島しのぶ、森七菜、三浦貴大、見上愛、黒川想矢、越山敬達、永瀬正敏、嶋田久作 宮澤エマ、田中泯、渡辺謙
監督:李相日
脚本:奥寺佐渡子
原作:『国宝』吉田修一著(朝日文庫/朝日新聞出版刊)
製作幹事:アニプレックス 、MYRIAGON STUDIO
制作プロダクション:クレデウス
配給:東宝
©吉田修一/朝日新聞出版 ©2025映画「国宝」製作委員会
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