堤真一、『ばけばけ』傅の“最後のシーン”は「死んでも死に切れんという気持ちでした」

 2025年度後期(大阪制作)NHK連続テレビ小説『ばけばけ』に出演した堤真一のコメントが公開された。

 朝ドラ第113作目となる本作は、松江の没落士族の娘・小泉セツをモデルにした物語。外国人の夫、ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)と共に、「怪談」を愛し、急速に西洋化が進む明治の日本の中で埋もれてきた名も無き人々の心の物語に光をあて、代者として語り紡いだ夫婦の姿が描かれる。主人公・松野トキを連続テレビ小説初出演となる髙石あかり、トキの夫ヘブン役をトミー・バストウが演じる。

 堤が演じた雨清水傅は、松江藩に名をはせる上級武士で文武両道のエリート。変わりゆく時代の中、没落士族に手を差し伸べようと尽力する一方で、妻・タエ(北川景子)や親戚のトキ(髙石あかり)を見守る人物だ。

 堤はまず、傅という人物像について「タエさんの方が家柄が上なので呼び捨てで、傳はタエさんに頭が上がらないんですよね」と語り、「奥さんといるときは江戸時代、仕事をしているときは明治時代の感覚」と表現。さらに、自身の経験と重ねながら、「最初に出会った時の関係性から態度を変えられない傅の気持ちはよくわかります」と役への理解を語った。

 武士から商人へ転身した傅というキャラクターについては、「武士だった人がこれまでちょっとさげすんでいた商人になるのは相当勇気のいることだったはず」と指摘し、「織物工場に部下のお嬢さんたちを呼び集めてノルマもなしに仕事をさせていたのはある種、救済のようなもので、商売人としては非常にぬるい考え方」と分析する。堤はまた、「演じる上では松野家との違いを出すために、あまりはしゃぎすぎないようにしていました」と撮影現場での意識を明かした。

 トキへの思いについては、「単なる親切やいい人というレベルではなかった」と語り、髙石についても「おトキの非常に前向きでエネルギッシュなところが髙石あかりさんに本当にぴったり」と称賛。「当て書きしたの?と思ったくらい」と太鼓判を押している。

 第15話で傅が亡くなるシーンについては、「タエのこともおトキのことも、すべてにおいてやりきれなかった辛さを抱えたままだった」と心境を明かし、「タエさんがこれからどうなるのか心配で、本当に死んでも死に切れんという気持ちでした」と胸の内を語った。

 作品全体の魅力について堤は、「究極に大変なことが起きてもなぜか悲劇という感じにはならず、乗り越えていく姿に元気をもらえる」と語り、「たまに司之介(岡部たかし)さんにイラッとすることもありますが(笑)、怒りながらも笑ってしまう作品になっている」とコメント。最後に照明についても「『陰翳礼讃』のような照明が印象的」と述べ、「ななめの光しか入ってこない日本家屋らしさが表現されている」と美術面にも注目してほしいと締めくくった。

■放送情報
2025年度後期 NHK連続テレビ小説『ばけばけ』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
NHK BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
NHK BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:髙石あかり、トミー・バストウ、吉沢亮、岡部たかし、池脇千鶴、小日向文世、寛一郎、円井わん、さとうほなみ、佐野史郎、北川景子、シャーロット・ケイト・フォックス
作:ふじきみつ彦
音楽:牛尾憲輔
主題歌:ハンバート ハンバート「笑ったり転んだり」
制作統括:橋爪國臣
プロデューサー:田島彰洋、鈴木航、田中陽児、川野秀昭
演出:村橋直樹、泉並敬眞、松岡一史
写真提供=NHK

関連記事