『コンフィデンスマンKR』に感じた“違和感”の正体 韓国版ならではの新しさを紐解く
「目に見えるものが真実とは限らない、何が本当で何が嘘か」
映画館で『コンフィデンスマンJP プリンセス編』を初めて観たとき、この言葉で一気に引き込まれたことを覚えている。筆者は映画から入って、ドラマを観直した人間だ。これほどまでに騙された作品は久しぶりだったからか、夢中になって観続けてしまった。
そしてついに、韓国リメイク版『コンフィデンスマンKR』の配信がスタートした。『私の夫と結婚して』での全身全霊の役作りが記憶に新しいパク・ミニョン、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』で注目を集め、今年だけでも4つのドラマ出演と大忙しのチュ・ジョンヒョク、ノワール調の作品に欠かせず渋い雰囲気で包み込むパク・ヒスンという布陣で、韓国を舞台に新たな“コンフィデンスマン”たちが暗躍している。しかし日本版のイメージが強く残っている筆者には、少し違和感があった。
長澤まさみが演じたダー子は、とにかく親しみやすいキャラクターだ。家では部屋着のような格好で無造作な髪型をしており、日本のギャグマンガから出てきたような豊かな表情で物語全体のコメディ色を強めていた。一方でパク・ミニョンが演じるイランは、ラグジュアリーな服装でダー子に比べると優雅でおしとやかだが、チュ・ジョンヒョク演じるグホとの掛け合いでクスッと笑ってしまう場面もあり、お上品さとコミカルさという正反対なものを同時に見せてくれる。こう比較してみるとわかるのは、日韓で少しだけキャラクター設定が異なるということだ。イランは「幼少期のある出来事により表舞台から遠ざかった財閥令嬢」で、違和感はそこにあったのだと言える。
まだ詳しくは明らかになっていないが、イランは隠し部屋を持っており、グホにもパク・ヒスン演じるジェームズにも秘密にしていることがあるようだ。登場人物が財閥出身だったり、回を追うごとに主人公の過去が明らかになっていったりするのは韓国ドラマでよくある物語展開だが、ダー子たちの過去は最後まで謎に包まれたままであったからこそ、イランたちの過去が韓国版の一つの見どころとなるだろう。