『ウェンズデー』がZ世代を中心に支持を受ける理由 新世代ポップスターへの人気とリンク

 漫画原作を基に、これまでTVドラマやアニメーション、映画版などが製作され、不気味で残忍なゴシック風の一家の日常を描いてきた、『アダムス・ファミリー』。Netflixのドラマシリーズ『ウェンズデー』は、特殊能力や変わった特徴を持つことで、社会から“のけ者”にされる子どもたちを集めた学園を舞台に、アダムス・ファミリーの家族の一員である、おさげ髪の少女ウェンズデーを主人公にした、コメディホラータッチのミステリードラマだ。

 鬼才・ティム・バートンが主要なエピソードを監督したことや、ジェナ・オルテガ、エマ・マイヤーズらの演技が好評を得たこと、オルテガ自身が振り付けたという、ウェンズデーの「クセ強ダンス」などがバズったことで、Z世代を中心に広い層から支持を受けるドラマ作品となった。そんなヒットドラマの第2シーズンが、現在リリースされている。

 前シーズンと同じく、第2シーズンも8話構成で、主要なエピソードをティム・バートンが監督しているのが嬉しいところ。一部では、彼らしいストップモーション・アニメーションも楽しめる。その前半4話が配信中で、後半4話は9月3日より配信予定となっている。ここでは、現在配信中のエピソード4までの内容を中心に、本シリーズの人気の理由と課題を掘り下げていきたい。

 描かれるのは、ネヴァーモア学園を取り巻く新たな闇だ。過去に起きた惨劇が現在に甦り、再びドス黒い脅威がウェンズデーたちに迫る。そんな不安を前にウェンズデーは、「私が暗雲」と言い、親友のイーニッド(エマ・マイヤーズ)が、「うん、いっつもね」と返す。エキセントリックな彼女たちのユーモアは顕在だ。

 夏休み中は、著名なシリアルキラーからの拉致を楽しむなど、“有意義”な日々を過ごしていたウェンズデー。新学期になり、弟のパグズリー(アイザック・オルドネス)も学園に通い始める。物語は、イーニッドが死ぬ姿を幻視したウェンズデーが、絶望的な未来を回避するため事件を捜査する流れと、パグズリーが甦らせてしまった死者スラープの謎が中心となってゆく。

 シーズン2になって注目したいのは、前シリーズで学園を救ったウェンズデーが、ネヴァーモアの英雄として、学生たちから羨望のまなざしで見られるようになったという状況。新入生たちからサインをねだられるなど、彼女に似合わぬ“人気者”になってしまっている。そんな事態を迷惑に思い、ウェンズデーは学内のファンに邪険な態度をとる。

 この展開は、ドラマを飛び出して現実の状況をストーリーに反映している点だと解釈できる。新シーズンが製作されたことが示しているように、ドラマ『ウェンズデー』は人気作品となり、ジェナ・オルテガは人気俳優となった。ティム・バートン監督の伝説のカルト映画の続編『ビートルジュース ビートルジュース』(2024年)でも、ウィノナ・ライダーのエキセントリックな少女のキャラクターを受け継ぐ役柄を好演しているのだ。

 また、エマ・マイヤーズも大きなブレイクを経て、大作『マインクラフト/ザ・ムービー』(2025年)への出演を果たした。このドラマシリーズで成功したオルテガたちの人気が、学園でのウェンズデーという“ニュースター”の象徴への羨望、というかたちで表現されていると考えられる。劇中、セイレーン族のビアンカ(ジョイ・サンデー)は、人気に戸惑うウェンズデーに、こう声をかける。「人気って、物理の法則に反比例なの。拒否れば拒否るほど、付いてまわるんだよ」と。

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