『DOPE』中村倫也が瞳に宿した激情 明かされる小池徹平の正体と“5億円盗難事件”の真相
だが、物語は急転する。陣内はジウから「すべての元凶は本郷だ」と告げられ、才木を気絶させて本郷を連れ去ってしまう。後に才木が陣内の残したライターに触れると、そこには陣内の深い悲しみと痛みが残されていた。愛する者を守れなかった悔恨と、自責の念。どこにもぶつけようのない怒りと哀しみが才木へと流れ込んでくるが、それを一気に感じた才木の感情が壊れてしまうのは無理ない。
陣内は単独で本郷の尋問を開始する。香織殺害には嘉賀は関与していない、椿(忍成修吾)を殺したのは自分、そして「5億円盗難事件」の共犯者は戸倉(小池徹平)だった。次々と明かされる真実に、陣内の目は狂気すら帯びていく。その時の中村倫也の表情には、単なる怒りだけではない複雑な感情がにじんでいた。怒気と悲哀、復讐心と諦めが混じり合い、まるで感情が剥き出しのまま顔の表層に浮かび上がっていたようだった。目の奥に宿る光は、もはや正義でも義務でもない。その瞬間の目だけで、彼の狂気と人間らしさの両方を伝える演技は見事だった。
一方、才木たちは泉(久間田琳加)から渡された手がかりを頼りに、陣内の居場所を追う。しかしそこに陣内の姿はなく、残されていたのは本郷だけだった。才木の中に失われていた未来予知の能力が戻ったが、そこには陣内と戸倉が対峙する未来が見えた。才木は迷うことなく現場へと走り出す。きっとこのままでは陣内が戸倉を躊躇なく殺めてしまうかもしれない。だが、それでは陣内も同罪になってしまうことになる。香織を失い、正義を見失いかけた男が、本当の意味で壊れてしまう前に止めなければならない。それがバディである才木の役割でもある。
ここにきて一気に核心へと迫った。椿の死からの連鎖、香織を巡る真相、そして「五億円盗難事件」の全貌が、陣内の行動によって次々と明かされていく。その流れるような展開から目が離せない。
木崎ちあきが手掛けた同名小説を原作を実写化した麻取アクション・エンターテインメント。謎に包まれた新型ドラッグ“DOPE”が蔓延している近未来の日本で、正反対のバディがDOPEによって巻き起こる不可解な事件の解決に挑んでいく。
■放送情報
金曜ドラマ『DOPE 麻薬取締部特捜課』
TBS系にて、毎週金曜22:00〜22:54放送
出演:髙橋海人、中村倫也、新木優子、三浦誠己、豊田裕大、久間田琳加、忍成修吾、入山法子、佐野和真、蒼戸虹子、小池徹平、真飛聖、伊藤淳史、井浦新
原作:木崎ちあき『DOPE 麻薬取締部特捜課』シリーズ(角川文庫/KADOKAWA刊)
脚本:田中眞一
演出:鈴木浩介ほか
プロデュース:長谷川晴彦、佐藤敦司
音楽:内澤祟仁
主題歌:Uru「Never ends」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
編成 :杉田彩佳、松本友香
製作:TBSスパークル、TBS
©︎TBS
公式サイト:https://www.tbs.co.jp/DOPE_tbs/
公式X(旧Twitter):@dope_tbs
公式Instagram:@dope_tbs