『ジュラシック・ワールド』ギャレス・エドワーズ×デヴィッド・コープが語る“新章”への思い

「今回のタッグは、非常に刺激的で学びの多い経験」

ーー今回、脚本家と監督という形でタッグを組まれることになりましたが、お互いどのような印象を持たれていましたか?

コープ:監督と脚本家の理想的な関係は、同じ目線で、同じ映画を想像しながら進めていける関係だと思っています。ただ、監督の立場は少し違うかもしれません。というのも、「脚本家は替えがきく」という考え方もあるわけですから。

エドワーズ:伝えたいことは山ほどありますが、まず一番伝えたいのは、この映画の脚本は最初から最後まで、デヴィッドひとりだけが書いたものだということ。それがどれほど特別なことかと言うと、こういった大作映画では、通常何人もの脚本家が関わるんです。それは脚本家ごとに得意分野が違うから。構成が得意な人もいれば、セリフが巧みな人、キャラクター設定に長けた人もいる。でも、デヴィッドはその全部ができる。すべての要素を一人で担える、数少ない脚本家なんです。

コープ:理想的なのは、自分自身のアイデアを持ち、明確なビジョンを持って、それを現場でしっかりと伝えられる監督です。ギャレスはまさにそういう方でした。具体的な場面やシーンごとに「ここではこういうふうに描きたい」という明確な考えがあり、それを脚本家である私に伝えてくれました。監督のそうした意見やアイデアを脚本に取り込むことで、作品がより良くなるのは間違いありません。ですから今回のタッグは、非常に刺激的で学びの多い経験になりました。

エドワーズ:デヴィッドが長年にわたり、一流監督たちに求められ続けているのは決して偶然ではありません。彼の才能を間近で見れば、誰もが「この人を手放したくない」と思うはず。そう確信した出来事が撮影中にありました。実際には使われなかったシーンですが、ある日、科学者2人がドアに向かって歩いていく場面を撮っていたんです。ただ、そのシーンにはセリフがなかったため、どうしても間がもたなかった。そこで僕はスマホを取り出し、「何かセリフを考えてくれないか?」とデヴィッドにメッセージを送りました。撮影はイギリスだったし、時差もあるので彼が寝ているかもしれないと思いながら送ったんです。ですが、わずか1分で返信が届いて。そこに書かれていたのは、起承転結がしっかりあって、映画のテーマとも見事に合致し、しかもユーモアまである完璧なセリフでした。そのクオリティの高さに、正直ちょっと落ち込みました(笑)。「ああ、自分は一流の脚本家にはなれないな」と痛感した出来事でした。

「安全な場所からスリルを楽しめる」という魅力

ーー今回の最新作も含め、『ジュラシック』シリーズが世界中で長く愛されているのはなぜだと思いますか?

コープ:このシリーズが特別なのは、私たち人間の根源的な恐怖、つまり「食べられるかもしれない」という、生存本能に刻まれた感覚に直接訴えかけてくるところにあると考えています。恐竜たちは実際にかつてこの地球に存在していた生き物です。その「実在した」という事実があるからこそ、よりリアルに感じられる。一方で、彼らが生きていたのは遥か昔の話なので、私たちはその恐怖を“安全な距離”から体験できる。それがこのシリーズの最大の魅力のひとつだと思います。そしてもちろん、恐竜たちが放つ圧倒的なスケールと迫力も、多くの人を惹きつけてやまない理由なのでしょうね。

エドワーズ:同感です。僕は1,000ドル賭けてもいいけど、どの子ども部屋を見せてもらっても、きっとどこかに恐竜のポスターやフィギュア、ぬいぐるみがあるはず。

コープ:でも、よく考えたらそれって不思議なことですよね。恐竜は基本的には人を食べる“モンスター”のはずで、本来なら子どもたちは怖がって遠ざけたがる存在のはず。けれど、恐竜に関しては別格で、むしろ親しみを持たれている。

エドワーズ:それがまさに『ジュラシック』シリーズが持っている「安全な場所からスリルを楽しめる」という魅力なんだと思います。まるでジェットコースターのように、「怖いけど楽しい」「危険だけど安心して楽しめる」という体験ができるんですよね。親子で映画館に行って、「怖い!」「面白い!」を共有できる。でも誰もが「ティラノサウルスは絶滅した」とわかっている。このホラーなのに子どもでも楽しめる絶妙なバランスこそが、このシリーズが長年にわたって愛されている理由なのではないかと思います。

■公開情報
『ジュラシック・ワールド/復活の大地』
全国公開中
出演:スカーレット・ヨハンソン、マハーシャラ・アリ、ジョナサン・ベイリー、ルパート・フレンド、マヌエル・ガルシア=ルルフォ、ルナ・ブレイズ、デヴィッド・ヤーコノ、オードリナ・ミランダ、フィリッピーヌ・ヴェルジュ、ベシル・シルヴァン、エド・スクライン
監督:ギャレス・エドワーズ
脚本:デヴィッド・コープ、マイケル・クライトン
キャラクター原案:マイケル・クライトン
製作:フランク・マーシャル、パトリック・クローリー
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ、デニス・L・スチュワート、ジム・スペンサー 配給:東宝東和
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公式サイト:https://www.jurassicworld.jp/
公式X(旧Twitter):https://x.com/jurassicworldjp

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