『初恋DOGs』を韓ドラファンが分析 清原果耶と成田凌の“ティキタカ”が今後の鍵か
7月1日より放送中の火曜ドラマ『初恋DOGs』(TBS系)。冷静沈着な弁護士の花村愛子(清原果耶)と、変わり者で動物にしか興味がない獣医師の白崎快(成田凌)が、愛犬同士が恋に落ちたことから始まる風変わりなラブストーリーだ。
制作には、韓国映画配給の元祖とも言える大手・CJ ENMのドラマ部門「STUDIO Dragon」が参加した初の日韓共同制作、また『私の夫と結婚して』で一躍ブレイクを果たした韓国俳優ナ・イヌが準主役と、日韓のドラマファンを意識した野心作でもある。現在第5話まで進んだところだが、韓国ドラマファンとしては、観るべきポイントとあと一押し今後に期待したい点とが相半ばしている。
“韓国のゴールデングローブ賞”と呼ばれる百想芸術大賞など、名だたる賞を受賞した脚本家パク・ソンスによるシナリオライティングの実践書『韓国式ストーリーのつくりかた』(※)では、ハリウッドとは異なる文化と社会背景から醸成される韓国式ストーリーについて解説している。曰く、韓国ドラマの特徴は「キャラクター中心のドラマ」であり、普遍的なストーリーを劇的に駆動するエンジンは、そのユニークなキャラクターの経験だという。これは「STUDIO Dragon」の掲げるキャッチコピー「Universal Emotions,Original Stories (普遍的な感情、オリジナルストーリー)」にも通じるところがある。それをふまえて『初恋DOGs』を見てみよう。
愛子が迎えた柴犬の“サクラ”、快が迷子犬として保護したミニチュアゴールデンドゥードルの“将軍”、それぞれの愛犬は仲睦まじく、視聴者をなごませている。しかし、プライベートでも弁護士気質が抜けない愛子の、時にきつく聞こえてしまう口調と、柔和なルックスと裏腹に空気の読めない発言が多く、本心が見えにくい快は初対面から馬が合わない。最新話では愛子のぎこちない告白があるものの、幼い頃にその後の人生を決定づける大切な思い出を共有しているにもかかわらず、またおそらくはお互いが初恋であることを自覚していなかったせいもあって、二人の間に流れる空気感は、恋愛の不得手をそのまま反映しているかのようにテンポの淀みがある。よく韓国ドラマや映画では気の合う2人が短いフレーズでテンポ良く会話をしている様子を示す新造語「티키타가(ティキタカ)」が、今のところ弱いのだ。