阿部顕嵐×阿久津仁愛の尊さが限界突破 『続・BLドラマの主演になりました』は大満足の続編に

 しかし、推しだってひとりの人間。好きになればなるほど人間はわがままになるもので、相手に少しでも近づいて触れたくなるし、他の人が知り得ないその人の素の顔を独り占めしたくなるものだ。でも、赤藤は萌を長年太陽神のように崇めてきたことに加え、本当の自分を相手に見せてフラれてしまった経験があるからこそ素を見せることができず、ギクシャクしてしまう。どちらの気持ちも分かるがゆえに、歯痒くて切ない。

 そんな2人の前に恋のライバルとして今作から登場したのが、灰原龍之介(古屋呂敏)と山吹若葉(押田岳)だ。灰原は大人の色気と包容力に溢れる人気俳優で、萌が子役時代からお世話になっている先輩。対する山吹は“カンヌに一番近い男”と呼ばれる新進気鋭の映画監督で、赤藤主演で初めてドラマを撮ることになる。どちらもハイスペックで赤藤と萌の関係をかき乱すかと思いきや、蓋を開けてみれば「"推し"への愛が行き過ぎた、ちょっぴり変な人たち」だった。特に灰原の方は、マニアックな青柳萌クイズで赤藤に匹敵するほどのガチオタ。だが、そこに恋愛感情はなくて、「お兄ちゃんになりたい」という願望からも明らかなように、萌に向けている感情は弟愛に近い。赤藤に対して感じているのも恋のジェラシーではなく、萌の世話を焼く兄ポジションを取られたことへの悔しさなのだろう。「いつも萌ちゃんがお世話になってます」なんて、推しを“身内のように愛でているオタクがついやってしまう対応だ。対して、山吹はおそらく苦悩する推しが見たいタイプ。こういうタイプはその才能に心底惚れ込んでいるから、恋愛も引き出しを増やすための経験として肯定的に受け入れられる。いや、むしろそれでパフォーマンスが向上するなら、どんどんやってくれ!というタイプだ。推し方は十人十色。でも、推しの幸せを願っていることには違いない。灰原と山吹のお膳立てで、赤藤と萌は改めて恋人として向き合う機会を得る。

 さらに今作は2人のマネージャー、黄島譲二(渡部秀)と紫宏臣(小越勇輝)の恋愛事情にも踏み込んでいる。黄島はかつて桐生譲として俳優活動をしていて、紫は彼のファンだったことが判明。硬派でクールだった“ゆずるん”が好きだった紫にとって、良い意味で気の抜けた今の黄島は解釈違いだったはず。でも、誘われると拒めないのは、今は“ゆずるん“ではなく、目の前にいる黄島に恋しているからだろう。それは赤藤も同じ。赤藤が恋しているのは俳優の青柳萌ではなくリアルの萌で、きっとそのことに気づく時がファンからの卒業だ。その変化がちょっぴり寂しくも嬉しい、大満足の続編となった。できることなら、天道(小西桜子)や黒宮(岩谷翔吾)のような良き相談役ポジションについて2人の恋路を永遠に見守っていきたいが、ついに最終回。果たして、2人は“キスの先”に進めるのだろうか。赤藤はもちろん、私たちもうっかり三途の川を渡らないように心してそのラストを見届けたい。

参照
https://realsound.jp/movie/2025/06/post-2049772.html

■配信情報
『続・BLドラマの主演になりました』最終回
TELASAにて、7月25日(金)12:00~独占配信
メイキング『「続・BLドラマの主演になりました」の主演になりました』も独占配信中
出演:阿部顕嵐、阿久津仁愛、渡部秀、岩谷翔吾(THE RAMPAGE)、金井美樹、古屋呂敏、押田岳、小西桜子、小越勇輝、入山法子
原作:すずり街 『BLドラマの主演になりました』(一迅社)
脚本:遠山絵梨香
監督:熊坂出
プロデューサー:藤崎絵三(テレビ朝日)、瀬島翔(スタジオブルー)
制作協力:スタジオブルー
制作著作: テレビ朝日
©すずり街/一迅社/テレビ朝日
公式サイト:https://www.tv-asahi.co.jp/bl_drama/
公式X(旧Twitter):@bldrama2025_ex
公式Instagram:@bldrama2025_ex

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