阿部顕嵐×阿久津仁愛の尊さが限界突破 『続・BLドラマの主演になりました』は大満足の続編に

 “続編”という言葉には甘美な響きがある。大好きだった作品なら自分のほっぺたをつねって夢か現実かを確認してしまうほど。でも冷静になった途端、「前作と同じテンションで楽しめるのだろうか……?」と不安になってしまうのがファンもいるのではないだろうか。だからこそ、『続・BLドラマの主演になりました』を観て思わずひれ伏した。一ファンとして「こんなにも満足度の高い続編を提供してくださって、ありがとうございます!」と心から感謝している。

 本作は、作家・すずり街が手掛ける人気コミックを原作に、ネクストブレイク俳優として大注目の“あかゆー”こと赤藤優一郎(阿部顕嵐)と、元売れっ子子役だが、今はパッとしない地味系俳優の青柳萌(阿久津仁愛)による恋模様を描いたラブコメディー。2023年のクリスマスイブにTELASAで「クランクアップ編」が配信、2024年の元日に地上波で「クランクイン編」が放送された『BLドラマの主演になりました』の続編だ。BLドラマでの共演と役作りのための同棲生活を経て、相思相愛となった2人の“その後“が描かれている。

 このドラマに限らず、BLドラマの続編では、晴れて恋人同士となった主人公たちの後日談が描かれることが多い。おとぎ話だったら「2人は永遠に幸せに暮らしましたとさ」で終わるけれど、現実はそうじゃない。一緒にいる時間が長くなればなるほど、相手に対する不満が出てきたり、価値観の相違で喧嘩になったり、いろいろと問題が出てくる。

 それは本作の主人公たちも同じ。別れの危機に陥るカップルもいる中で、赤藤と萌に対しても若干の不安があった。どちらか一方ではなく、お互いちょっとずつ言葉が足らないから。2人のイチャイチャは見たい。されど、傷つく2人は見たくない……! そんな恐る恐るな気持ちで続編を見始めた結果、第1話の時点ですべては杞憂に終わった。たしかに赤藤と萌が乗り越えるべき課題はあるけれど、本質は変わっていない。すれ違いコントのような“おもしろ切ない”2人のやりとりを神の視点で見守る楽しさは健在。いや、よりパワーアップしている。

 ドラマのコミカルな要素を主に担っているのは赤藤だ。これまで何度も萌とのキスの先をシミュレーションしては三途の川を渡りかけ、亡くなったひいおばあちゃんに「こっちにきてはダメ」と追い返されている(あえてのチープなCGとおばあちゃん役の棒読み加減が堪らない)。なにせ、赤藤は萌の“ガチオタ”だから。高校生の時から萌を一途に推してきた赤藤にとって、その存在はまさに太陽。最初は眩しすぎて視界に入れるだけでも眼球がつぶれそうになっていたというのに、キス以上のあれやこれやなんて刺激が強すぎる! それこそイカロスのように、翼が溶けてしまうだろう。

 しかも、赤藤の愛を一身に受けているからか、今作に入ってからもともと尋常じゃなかった萌の尊さが限界突破している。赤藤の肩に頭をこてんと乗せ、そのキュルキュルなお目目で下から見上げる萌、もとい阿久津の破壊力。前作では自信なさげに微笑んでいた萌が赤藤に見せる無邪気な笑顔は愛らしく、もはや天からお迎えにやってきた天使にしか見えない。

 そのせいでただでさえ様子のおかしい赤藤がますます挙動不審に。インタビューによると阿部は今まで人生で推しができたことがないそうだが(※)、限界オタクムーブが的確すぎる。というより、オタクの心の中を具現化するのが上手い。特に白目を剥いて気絶する演技が最高。普通の人ならオーバーに見えるかもしれないが、限界オタクなら推しが尊すぎるあまり心の中で同じように昇天した経験があるのではないだろうか。すでにオタバレしているのに、本人の前では必死に平然を装おうとしている感じも心当たりがある。

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