生田絵梨花、舞台で鍛えたスキルが光る 『明日はもっと、いい日になる』で際立つ静かな演技
もう1つ見逃せないのが、彼女の中にある“音楽的感性”だ。幼少期からクラシックピアノを学び、現在も歌や演奏の場に身を置き続けている生田にとって、音楽は演技や表現の根っこにあるものである。実際、彼女のセリフのリズムや呼吸には、独特の“間”と“流れ”がある。それは台本に書かれていない小さな休符を意識するような言葉の紡ぎ方。そのリズムの作り方が、彼女の演技に独特の説得力と深みをもたらしているような気がしている。
『明日はもっと、いい日になる』で演じている蒔田という人物は、まさにそうした静かで繊細な演技が求められる役どころだろう。言葉を多く並べるよりも、じっと相手を見つめ、心を聴こうとする。その姿勢が、生田の現在の表現スタイルと見事に重なっている。
この数年、生田絵梨花は明らかに意図を持ったキャリア選択を重ねてきた。舞台、映像、音楽、そしてバラエティやナレーション。アイドル出身という看板を自らの手で丁寧に更新しながら、じっくりと俳優・生田絵梨花としての輪郭を描き出してきた。そんな彼女にとって、今回の月9ドラマ出演は、ただの出演作ではなく、1つの節目でもある。王道の地上波連続ドラマの中で、自らの持ち味を活かしながら、作品に確かな深みを加えている。
“多才で器用”という言葉で片づけてしまうには、あまりにも誠実でストイックな人だ。自分に必要なものを見極め、足りないと感じたら学び直し、少しずつ地力を高めていく。その姿勢があるからこそ、今の彼女の演技には、無理がなく、温かく、そして説得力がある。
『明日はもっと、いい日になる』という作品は、そんな彼女の今を切り取った1ページであると同時に、これから彼女がどこまで進化していくのかを楽しみにさせてくれる入口でもある。きっとこれからも、生田は変わり続けるだろう。けれど、どんな役をまとっていても、その奥に流れる静かな情熱や誠実さは変わらない。それがきっと、私たちが彼女の演技に惹かれ続ける理由なのだ。
児童相談所を舞台に、そこで働く個性的な面々たちがこどもたちの純粋な思いに胸を打たれ、その親までも救っていく姿描く完全オリジナルストーリーのヒューマンドラマ。
■放送情報
『明日はもっと、いい日になる』
フジテレビ系にて、毎週月曜21:00~21:54放送
出演:福原遥、林遣都、生田絵梨花、小林きな子、濱尾ノリタカ、莉子、西山潤、町田悠宇、勝村政信、風間俊介、柳葉敏郎ほか
脚本:谷碧仁(劇団時間制作)ほか
演出:相沢秀幸、下畠優太、保坂昭一
プロデュース:宮﨑暖
主題歌:JUJU「小さな歌」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
制作プロデュース:熊谷理恵、三浦和佳奈
制作協力:大映テレビ
制作著作:フジテレビ
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