“九州出身女優”が朝ドラヒロインを独占 今田美桜、橋本環奈、髙石あかりらが放つ存在感
放送中の朝ドラことNHK連続テレビ小説『あんぱん』(2025年度前期)が折り返しに入ったところで、早くも来期の朝ドラ『ばけばけ』(2025年度後期)の情報をよく目にするようになった。前期の朝ドラ『おむすび』(2024年度後期)と今作のタイトルには“食べ物”の名前が冠されているが、ここに何かしらの共通点を見出そうとしている方は少なくないのではないだろうか。
けれども来期の作品のモチーフになっているのは、小泉八雲とその妻である小泉セツ。この3作品の並びからどんな共通点が見つけられるだろう(そんなもの、そもそもあるわけないのか)……と考えていたら、各作品のヒロインを演じる者たちが“九州出身者”であることがわかった。『おむすび』の橋本環奈、『あんぱん』の今田美桜、そして『ばけばけ』の髙石あかりである。
俳優の出身地がどこかなんて、多くの人にとってはどうでもよいことだと思う。気にしたことすらない方だって少なくないはず。しかしながら九州の鹿児島出身で、こうして東京で文筆業を営んでいる身からすると、多少は気になるものだ。東京を中心とする関東圏で生まれ育った人々と比べると、地方から上京して暮らしを立てるというのは相応のハードルがある。同じような立場の方には共感していただけるだろう。
親族も友人もそのほとんどが故郷にいて(それなりに東京生活が長くなれば友人も増えるだろうが)、地方に比べて生活コストも非常にかかる。人生はままならない。そもそも地方で生まれ育った人によっては、上京するという選択肢すら持ったことがなかったりもするのだろう。だがそこで上京することを選んだ少数の者たちが集まって、映画やドラマをはじめとするさまざまなコンテンツを生み出すシーンを形成している。それが東京だ。もちろん、地方で生活しながら東京で活動をしている者もいたりはするが、映画やドラマに関わるほとんどの人間が東京在住者である。
橋本と今田は福岡の生まれで、髙石は宮崎出身。福岡は九州の中枢都市とあってか、ここの生まれで俳優になったものはそれなりにいる。しかし、彼女らのように20代前半のうちにスターダムを駆け上がることができた存在は稀だろう。橋本は幼い頃から福岡の芸能事務所に所属し、九州が舞台の是枝裕和監督による『奇跡』(2011年)で映画デビュー。その後も地方での活動を続けていたところ、思いがけぬタイミングで世に発見されたのは広く知られている。『セーラー服と機関銃-卒業-』(2016年)で主演を務めて以降、つねにエンターテインメントの世界の中心にいる。