三宅唱新作映画『旅と日々』に河合優実、髙田万作ら出演 ティザービジュアル&予告編も

 11月7日に公開されるシム・ウンギョン主演映画『旅と日々』に、河合優実、髙田万作、佐野史郎らの出演が決定。あわせてティザービジュアルと予告編が公開された。

 本作は、つげ義春の漫画『海辺の叙景』『ほんやら洞のべんさん』を原作に、脚本家が旅先である男と出会ったことをきっかけに、人生と向き合っていく過程を描いたヒューマンストーリー。『きみの鳥はうたえる』、『ケイコ 目を澄ませて』、『夜明けのすべて』などの三宅唱監督の最新作となる。

 脚本家の李を『新聞記者』、『七人の秘書』(テレビ朝日系)などのシム・ウンギョンが演じ、李が旅先で出会うべん造役で『本能寺ホテル』、『妻、小学生になる。』(TBS系)などの堤真一が共演する。

 強い日差しが注ぎ込む夏の海。ビーチが似合わない夏男(髙田万作)がひとりでたたずんでいると、影のある女・渚(河合優実)に出会う。何を語るでもなく、なんとなく散策するふたり。翌日、ふたりはまた浜辺で会う。台風が近づき大雨が降りしきる中、ふたりは海で泳ぐのだった……。つげ義春の漫画を原作に李(シム・ウンギョン)が脚本を書いた映画を大学の授業の一環で上映していた。上映後、学生との質疑応答で映画の感想を問われ、「私には才能がないな、と思いました」と答える李。冬になり、李はひょんなことから訪れた雪荒ぶ旅先の山奥でおんぼろ宿に迷い込む。雪の重みで今にも落ちてしまいそうな屋根。やる気の感じられない宿主、べん造(堤真一)。暖房もない、まともな食事も出ない、布団も自分で敷く始末。ある夜、べん造は李を夜の雪の原へと連れ出すのだった。

 新たに、渚役で出演が決定した河合は「『きみの鳥はうたえる』が大好きで、いつかご一緒したかった」と語り、完成した映画に対しても「傑作だ、と思いました」と素直な思いを語った。さらに、「全てのカットが、本当に美しいものを撮っている、または、本当に畏れながら撮っている、という感じがして、そういう意味での嘘のなさに、感動しました」とコメントを寄せている。

 髙田が演じるのは、後ろ姿しか明かされていない夏男。髙田は本作を「自分の転機になる作品だと確信していた」と明かした。また、「ただそこに立って、風を受けながら、場所に身を委ねる。旅なんてそれだけで十分だと思える映画でした。言葉に囚われていた主人公が、この旅を通して少しずつほどけていく様な感覚が、皆さんにも伝わればいいなと思います」と語っている。

 公開されたティザービジュアルでは、雪景色の中に佇む李と、なにやら木桶をのぞき込むべん造、海辺を歩く渚が遠景から写し出されている。

 さらに、つげ作品には欠かせない佐野と、過去の三宅監督作品に出演してきた斉藤陽一郎、松浦慎一郎、足立智充、梅舟惟永らの出演がクレジットにて明かされた。

映画『旅と日々』予告編

 あわせて公開された30秒の予告編は、「行き詰まった脚本家が旅に出た」というコピーから始まる。たどり着いた宿で、宿主であるべん造に「幸せな気分さ、なる話はどうだや?」と問いかけられる李。李はその旅先で眼鏡を曇らせながら、うどんを満足そうに頬張り、雪の中でうっとりするように周囲の音に耳を澄ませる。さらに「なしてこんなとこ来たの?」と尋ねられると「なんとなくです」と答える李に呼応するように、夏の海で「なんにもしたくなくて」と答える渚の姿が映し出される。予告編全体を包み込む音楽は、今や三宅作品には欠かせないHi'Specが担当した。

 また、脚本家として執筆活動に一心に取り組む李、どこかおかしみのある李とべん造が囲炉裏を囲む姿、そして夏の海で風を受ける渚と夏男の姿を捉えた場面写真も公開された。

河合優実(渚役)コメント

本作の出演について

『きみの鳥はうたえる』が大好きで、いつか三宅監督とご一緒したいと思い続けていたので、すごく嬉しかったです。

脚本を読んでの感想

ふたつの原作を、夏と冬でメタ的に構成しなおすことに驚きがあり、とても面白いと思いました。また、三宅監督が何か新しいことに挑戦している印象があったので、一緒に映画を作ることが楽しみな脚本だと思いました。

三宅唱監督との仕事について

最初に、「監督と演者というより、一緒に作っていく人として接します」と言ってくださったのですが、それがすごく嬉しかったです。三宅さんは気さくで話しやすい方ですが、環境づくりはとにかく丁寧で、素晴らしい現場でした。

完成した映画を観て

傑作だ、と思いました。ほんのささやかな物語の中に、無数の感慨があります。全てのカットが、本当に美しいものを撮っている、または、本当に畏れながら撮っている、という感じがして、そういう意味での嘘のなさに、感動しました。皆さんの素晴らしい仕事の結集だと思います。自分がこの映画の中に残っていることが嬉しいです。

髙田万作(夏男役)コメント

本作の出演について

オーディションの話を頂いた時から、三宅唱監督作品という事もあり「絶対にやりたい」と思っていましたし、自分にとって必ず転機になる作品だと確信していました。合格の連絡をもらった時は、プレッシャーもありましたが、それ以上に早く現場に入りたい気持ちが強かったです。

脚本を読んでの感想

原作の、「海辺の叙景」の少し怖くて、でも目を離せないあの感覚が、脚本に上手く落とし込まれているなと思いました。読みながら、この先 2 人はどんな結末を迎えてしまうんだろうと、少しゾワゾワした気分になりました。

三宅唱監督との仕事について

監督自身が、現場をすごく楽しまれてるなと思いました。いつも笑顔で、スタッフの方と楽しそうに試行錯誤されてる姿が、すごく印象的でした。演技指導に関しても、監督の言葉ひとつひとつが信頼に満ちていて、難しい演技にも安心して挑戦することができました。

完成した映画を観て

ただそこに立って、風を受けながら、場所に身を委ねる。旅なんてそれだけで十分だと思える映画でした。言葉に囚われていた主人公が、この旅を通して少しずつほどけていく様な感覚が、皆さんにも伝わればいいなと思います。素敵な作品に関わることが出来て光栄でした。

■公開情報
『旅と日々』
11月全国ロードショー
出演:シム・ウンギョン、堤真一、河合優実、髙田万作
監督・脚本:三宅唱
原作:つげ義春『海辺の叙景』『ほんやら洞のべんさん』
製作:映画『旅と日々』製作委員会
製作幹事:ビターズ・エンド、カルチュア・エンタテインメント
企画・プロデュース:セディックインターナショナル
制作プロダクション:ザフール
配給:ビターズ・エンド
©2025『旅と日々』製作委員会
公式X(旧Twitter):@tabitohibi

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