高橋克実×安達祐実×伊藤淳史×正名僕蔵×山路和弘 『べらぼう』“忘八アベンジャーズ”の魅力
松葉屋半左衛門(正名僕蔵)
代々“名妓”としてその名を江戸中にとどろかす「瀬川」を輩出してきた老舗女郎屋“松葉屋”の主。吉原の顔役で町の決めごとを取り仕切る松葉屋は、格式と伝統を重んじる存在だ。
のらりくらりとした物腰の人物でありながら、その判断には吉原の未来を見据えた深慮がある。第10回では、瀬川の身請けが決まった蔦重に対して、わざと素っ気ない態度を取りながら2人の最後の逢瀬を演出した。この粋な計らいは、忘八でありながら人情を忘れていない松葉屋の本質が見えた一幕だった。
忘八アベンジャーズの会合では常に上座に着き、重要な決定を下す立場にある。吉原の伝統と革新のバランスを取りながら、蔦重の新しい試みを見守る姿勢は、まさに重鎮としての貫禄だ。
扇屋宇右衛門(山路和弘)
松葉屋と共に吉原を取りまとめる女郎屋“扇屋”の主で「墨河」という号を持ち、俳句、和歌、画などをたしなむ教養人で女郎たちにも和歌や書を習わせ、花扇、滝川といった名妓を育てた扇屋。
理知的な性格で、蔦重が本屋になった事に激怒する駿河屋をなだめ、蔦重の考えを商売に活かすように説得する。寄合においても出席者同士が揉めた際のなだめ役を務めるように、激情に走りがちな忘八たちの中で冷静な判断を下す役割を担っている。
第3回では、蔦重が本づくりに勤しむようになると激怒し、たびたび蔦重を階段から落としたりする駿河屋に対して、『一目千本』に込められた吉原への想いを理解させ、蔦重の本づくりへの理解を促した。忘八アベンジャーズの中で、最も先見の明がある人物である。
「忘八アベンジャーズ」が守るもの
「忘八」という蔑称を背負いながら、彼らは吉原という特殊な世界を守り続けてきた。女郎たちを搾取する一方で、彼女たちの生活を支え、吉原の文化と誇りを維持してきた複雑な存在である。
彼らは日本橋進出を目指す蔦重を支援し、新たな挑戦に立ち向かっていく。普段は互いに競い合い、時に対立する忘八たちが、吉原の未来のために一致団結する姿はまさに「アベンジャーズ」の名にふさわしい。
参照
※ https://steranet.jp/articles/-/3966
■放送情報
大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』
NHK総合にて、毎週日曜20:00~放送/翌週土曜13:05~再放送
NHK BSにて、毎週日曜18:00~放送
NHK BSP4Kにて、毎週日曜12:15~放送/毎週日曜18:00~再放送
出演:横浜流星、小芝風花、渡辺謙、染谷将太、宮沢氷魚、片岡愛之助
語り:綾瀬はるか
脚本:森下佳子
音楽:ジョン・グラム
制作統括:藤並英樹
プロデューサー:石村将太、松田恭典
演出:大原拓、深川貴志
写真提供=NHK