『べらぼう』視聴者なら興奮すること間違いなし! 横浜流星の副音声も最高な『蔦重』展
耕書堂に入れる! 撮影OKの再現展示
展示の後半に現れるのは耕書堂の再現セット。撮影可能エリアということで、多くの来場者がカメラを構えていた。
中に入ると、そこはまさにドラマで見慣れた光景。蔦重の机、棚に並ぶ本の数々、そして壁に貼られたお品書き。細部まで作り込まれた美術セットの完成度に驚く。机の上には筆や硯が置かれ、今にも蔦重が戻ってきそうな雰囲気だ。
さらに、ドラマで使用された衣装デザイン画や美術ボードも展示されている。登場人物が着ていた衣装の細かな模様や、オープニング直前で映される本編を切り取った一枚絵など、制作の裏側を垣間見ることができる貴重な資料である。
充実のグッズコーナー
展示を見終えて、最後に行きたいのがグッズ売り場。まず目を引いたのは、400ページを超える図録。ずっしりとした重みが、展覧会の充実度を物語っている。
蔦重がプロデュースした絵師たちの作品をモチーフにしたオリジナルグッズも豊富だ。写楽の「三代目大谷鬼次の江戸兵衛」ぬいぐるみや、黄表紙『見徳一炊夢』をモチーフにした「和綴じ本ぬいぐるみ」などはインパクトたっぷりのデザイン。歌麿の美人画があしらわれたクリアファイルも美しい。気づけば1万円分ほど購入していたが、展覧会の思い出として大切にしたい。
2時間近く滞在した筆者だが、まだまだ見足りない気持ちでいっぱいだった。この展覧会の素晴らしさは、単なる美術展ではなく、大河ドラマとの相乗効果で江戸の出版文化を立体的に理解できることにある。
ドラマで描かれた人間ドラマと、実際の作品が結びつくことで、蔦屋重三郎という人物の偉大さがより鮮明に浮かび上がってくる。特に今のタイミングは、ドラマも中盤を過ぎて登場人物や作品への理解が深まっているため、展示を見る楽しさが倍増する。
会期は6月15日まで。土日は混雑が予想されるが、それでも行く価値は十分にある。『べらぼう』ファンなら、きっと満足できる展覧会だ。蔦重と仲間たちの世界が、上野で待っている。