第77回カンヌ国際映画祭グランプリ受賞　『私たちが光と想うすべて』7月25日公開決定

　インド映画で初めてカンヌ国際映画祭グランプリを受賞した映画『All We Imagine as Light（英題）』が『私たちが光と想うすべて』の邦題で、7月25日に日本公開されることが決定した。

　パヤル・カパーリヤー監督の初長編劇映画となる本作は、世代や境遇、性格も異なる3人の女性がさまざまな葛藤を抱えながら生き、友情を築いていく姿が描かれている。

　カパーリヤー監督は、ムンバイ生まれの39歳。初の長編ドキュメンタリー映画『何も知らない夜』では、2021年のカンヌ国際映画祭監督週間でベスト・ドキュメンタリー賞に当たるゴールデンアイ賞、2023年の山形国際ドキュメンタリー映画祭インターナショナル・コンペティション部門でロバート&フランシス・フラハティ賞（大賞）を受賞した。

　街をさまよいながら小さなカメラで撮影した映像と録音した環境音をドラマに組み合わせるという、ドキュメンタリー経験者ならではのテクニックを用いつつも、光に満ちたやさしく淡い映像美、洗練されたサウンド、そして詩的で幻想的な世界観で作り上げられた本作は、インド映画として30年ぶりに第77回カンヌ国際映画祭のコンペティション部門入りを果たした。審査員長を務めたグレタ・ガーウィグ監督や日本から審査員として参加した是枝裕和監督も本作を絶賛し、インド映画史上初のグランプリにあたるパルム・ドールを受賞。さらに、100を超える世界の映画祭・映画賞にノミネートされ、25以上の賞を獲得している。また、オバマ元大統領の2024年のベスト10にも選ばれ、70カ国以上での上映が決定している。

　インドのムンバイで看護師をしているプラバ（カニ・クスルティ）と、年下の同僚のアヌ（ディヴィヤ・プラバ）。2人はルームメイトとして一緒に暮らしているが、職場と自宅を往復するだけの真面目なプラバと、何事も楽しみたい陽気なアヌの間には少し心の距離があった。プラバは親が決めた相手と結婚したが、ドイツで仕事を見つけた夫から、もうずっと音沙汰がない。アヌには密かに付き合うイスラム教徒の恋人がいるが、親に知られたら大反対されることはわかっていた。そんな中、病院の食堂に勤めるパルヴァディ（チャヤ・カダム）が、高層ビル建築のために立ち退きを迫られ、故郷の海辺の村へ帰ることになる。揺れる想いを抱えたプラバとアヌは、一人で生きていくというパルヴァディを村まで見送る旅に出る。神秘的な森や洞窟のある別世界のような村で、2人はそれぞれの人生を変えようと決意させる、ある出来事に遭遇する。

　プラバを演じるのは、『Biriyaani（原題）』でケーララ州映画賞・主演女優賞を受賞し、2024年度東京フィルメックスでも上映された『女の子は女の子』にも出演したカニ・クスルティ。アヌには『Ariyippu（原題）』でロカルノ国際映画祭国際コンペティション部門主演女優賞にノミネートされたディヴィヤ・プラバ、パルヴァディには、日本でもスマッシュヒットを記録したインド映画『花嫁はどこへ？』に出演したチャヤ・カダムがそれぞれ扮した。

　公開された本ポスターは、夜のムンバイの駅のホームに静かに佇むアヌの姿を捉えたもの。夜の青い光と影の美しいコントラストの中で浮かび上がるアヌの静かな眼差しが印象的で、そこへ「運命から、解き放たれる」というキャッチコピーが添えられている。

　あわせて公開されたシーン写真には、ドイツへ行ったきりのプラバの夫から突然、炊飯器の贈り物が届く様子を映し出したもの。プラバは長年音沙汰がなかった夫からの唐突なプレゼントに戸惑いながら、ルームメイトのアヌとあれこれ推察しあっている。

■公開情報
『私たちが光と想うすべて』
7月25日（金）Bunkamura ル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほかで全国ロードショー
監督・脚本：パヤル・カパーリヤー
出演：カニ・クスルティ、ディヴィヤ・プラバ、チャヤ・カダム
配給：セテラ・インターナショナル
原題：All We imagine as Light／2024年／フランス、インド、オランダ、ルクセンブルク／マラヤーラム語、ヒンディー語／118分／1.66:1／字幕：藤井美佳／ PG12
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