Aぇ! group 佐野晶哉が明かす俳優業への思い 「アイドルの経験があるからこそできる芝居を」
4月16日からフジテレビ系で放送がスタートする救命医療ドラマ『Dr.アシュラ』。主演の松本若菜が演じる主人公・杏野朱羅とは対照的なへっぴり腰のポンコツ研修医・薬師寺保を演じるのは、Aぇ! groupの佐野晶哉だ。小学生時代から劇団四季に所属し、『サウンド・オブ・ミュージック』や『ライオンキング』といった名作舞台に立ってきた豊かな経歴を持つ佐野。2024年はバツイチ女性との繊細な恋愛模様を描いたドラマ『離婚後夜』(ABCテレビ・テレビ朝日系)で連ドラ初主演を果たし、新境地を開拓した。そして3月公開の中国発アニメ映画『ヨウゼン』では、初めての声優挑戦ながら主人公・ヨウゼンという大役に抜擢。舞台、ドラマ、声優と活躍の幅を広げ、俳優として着実に存在感を高めている。
GP帯連続ドラマ初出演となる佐野は初の医師役にどうアプローチしたのか。初共演となった松本の印象や、芝居を通じて感じたやりがいを語ってもらった。
『Dr.アシュラ』出演決定時に実感した、Aぇ! groupの勢い
――GP帯連続ドラマ初出演ですが、出演が決まったときの心境を教えてください。
佐野晶哉(以下、佐野):とても嬉しかったです。すぐに原作の漫画を購入して読ませていただいたのですが、純粋に「面白い!」と思いました。同時に、救急医療のリアルな現実がしっかりと描かれていて、それが読者に強く突きつけられる作品だとも感じました。そんな中で、保というキャラクターが作品全体に与える影響は大きいと思いましたし、彼の視点によって作品の見え方が大きく変わるかもしれないというプレッシャーもありましたね。
――それだけ大きな責任を感じたわけですね。
佐野:そうですね。最初にキャストを拝見させていただいたときに、「この方が演じたら、こうなるんだろうな」とすごく自然に想像できたんです。だからこそ、「僕が演じる保はどうなるんやろ……?」って考えたときに、正直ちょっと怖くて。だからこそ、自分が保という存在をどう作っていくかについてすごく悩みました。
――メンバーからはどんな声をかけてもらいましたか?
佐野:メンバーもすごく喜んでくれましたね。小島(健)くんには「なんやねんお前」って言われました(笑)。というのも、デビュー直後で小島くん以外の4人が映像の仕事をやっている時に、小島くんはバラエティを1人で全部背負ってくれていたんです。その時にグループ内のノリで「小島くんだけなんもしてない」みたいにいじる流れがあって。実際には全くそんなことないんですけど、たまたまそういうタイミングが続いてしまって、「お前は定期的に仕事あるからええよな」みたいなやり取りを小島くんとずっとしてたんです。そんな時に僕の出演が決まったのでツッコまれました(笑)。もともと、この4月クールで(草間)リチャードと正門(良規)がドラマに出演するというのは知っていたので、僕も同じクールで出演が決まったというのが本当に嬉しくて。CDデビューから2年目に差し掛かるこのタイミングで、こうやってグループとしての勢いを感じられる機会をいただけることは、すごくありがたいことだなと感じました。
――撮影が始まってから数日経ちましたが、保のキャラクターはどう解釈していますか?
佐野:言い方ひとつで現場の緊張感が大きく変わってくるなと感じました。原作にもあるんですが、アシュラ先生が「来る」と言って患者が運ばれてくるのを何か能力のようなもので察するシーンがあるんです。その時に保が「何が?」と言うのですが、その言い方ひとつで現場の緊張感が変わってくる。後はアシュラ先生が医療用語で、患者の状態を説明してくれるところがあるんですがこのシーンにおける「えー!」という保のリアクションの温度感がすごく大事なんだと感じました。多くの視聴者の方も、きっと医療用語がわからないという立場で観ていると思うんです。だからこそ、保のリアクションひとつで、その患者の状態の重みが変わってくるというか、僕が演じる保が“リアクター”として、視聴者の目線に最も近いキャラクターなんだろうなと強く感じました。
――主演の松本若菜さんとはお話も?
佐野:ガンガン話しかけに行きたいと思っています(笑)。でも、台本を読んでいると、アシュラ先生のセリフ量がものすごく多くて、医療用語も多いのでやっぱり「大変やろうな」って思う部分もあるので葛藤しています。
――松本さんは医師役を演じるのに救急の現場に行ったり、心臓マッサージを習ったりしたそうですが、佐野さんは医師役をやる上で事前に準備したことはありますか?
佐野:心臓マッサージのやり方や、ルートを取って点滴を打つ方法などの事前リハーサルはやりました。そのリハーサルの時点で、医療ドラマの大変さをすごく実感しましたね。台本にはもちろんセリフが書かれているんですけど、それとは別に医師としての動作がたくさんあって、さらにその動作に付随するセリフや指示もあるんですよね。大枠の流れだけじゃなく、細かい動きや言葉の積み重ねがあるんだなと感じて、そこはすごく驚きました。
――医療用語も頭に入れなければいけない大変さもありますよね。
佐野:そうなんです。でも実は、母が医療ドラマ好きで、日本のものはもちろん、海外の医療ドラマもいろいろ観ていて。その影響で、僕自身も自然と医療ドラマを追っかけて観ていたので、今回、自分がその世界に入り込めるというのはすごく楽しみです。
――原作で読んだ薬師寺保の印象は?
佐野:「この眼鏡かけてるやつ、なんか信用できへんな」と思っちゃいました(笑)。でも、原作にもあるコミカルさとか、どこか憎めないキャラクター性がちゃんと出るように意識して演じています。ほんまに何もできへんやつなんですけど、それでもどこかかわいげのある保になれたらいいなと思ってます!
――映像を観る限りではすごく冴えない感じですよね。
佐野:この“冴えなさ”が大事だと思いました。なので、黒縁のちょっと太めの眼鏡をかけることで、より“保っぽさ”が出るかなと思いましたね。衣装合わせのときには監督から「肩幅、意外とあるね」って言われて。「ちゃんとして見えちゃうから、もうちょっと狭めてほしい」みたいなことを言われたんですけど、さすがに無理ですって思いました(笑)。なので、なるべく胸を張らないように意識して、立ち姿とかでちょっと頼りなさを出せたらいいなと思っています。
――保は一番成長する役かもしれないですね。
佐野:僕が感じた保のイメージですが、保は子どもの頃から医者になって命を救いたいという夢があったわけではなくて、単純に親が皮膚科を経営していたから、将来は自分も医者になるんだなと思って、惰性で進んできたタイプなのかなと。そこから、たまたま救急科に配属されて、研修期間をとりあえずこなそうとしているだけで、最初の動機はそんなに強いものではない。でも、そこからいろんな人と出会い、どう変わっていくのかがこのキャラクターの面白さなのかなと思います。