『おむすび』のコロナ禍描写はなぜリアル? スタッフ・キャスト陣による“あの頃”の記憶
一方、制作統括の宇佐川隆史は「私が他に印象的だったのは、やっぱり防護服ですね」と、病院での撮影シーンを回顧する。
監修者のもと3段階の防護服を用意したといい、「最大装備の防護服を着るときには、衣装さんに手伝ってもらうのですが、それでも10分かかるんですよね。医療関係者の方はこれを1回1回、たとえばお手洗いや休憩するときに外したでしょうし、使い捨てなので毎回新しいものをつけ直す。そういう繰り返しをしていたことが、本当にすごいと出演者の皆さんと話していました」とキャストとのやり取りを明かす。
「最大装備の防護服はマスクも二重なので、息も簡単にできる状態ではないんです。そんな息苦しい中でも、(看護師の桑原役を演じる)妃海風さんはじめ俳優さんは一言も愚痴や文句を言うことなく撮影につとめ、そしてただただ医療関係者のみなさんを尊敬されていました。撮影自体は大変でしたが、その日は一層連帯感が高まった気がしましたね。俳優部の皆さんの中にも『これは伝えないといけない』という思いがあったのではないかと思います」(宇佐川)
なお、第112話では緊急事態宣言が発令され、人けのない街が印象的に描かれた。同場面について、真鍋は「あれはCGで消しました。ただ、人が多ければ消さなくてはいけない人数も増えるので、周囲に人が少ない早朝に撮影しました」と舞台裏を明かし、「実際にある景色ですが、あらためて怖いですよね」と当時を振り返った。
制作陣、さらにはキャストたちの記憶と経験によって描き出された第23週。随所にちりばめられたリアルさが、視聴者にとって“あの頃”を思い起こすきっかけとなったに違いない。
■放送情報
連続テレビ小説『おむすび』
NHK総合にて、毎週月曜から金曜8:00〜8:15放送/毎週月曜〜金曜12:45〜13:00再放送
BSプレミアムにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜8:15〜9:30再放送
BS4Kにて、毎週月曜から金曜7:30〜7:45放送/毎週土曜10:15~11:30再放送
出演:橋本環奈、佐野勇斗、仲里依紗、麻生久美子、北村有起哉
語り:リリー・フランキー
主題歌:B'z「イルミネーション」
脚本:根本ノンジ
制作統括:宇佐川隆史、真鍋斎
プロデューサー:管原浩
写真提供=NHK