『東京サラダボウル』松田龍平が奈緒の前だけで見せる顔が尊い　さまざまな“相棒”の形

　そんな、大切な人と繋いでいたはずの手が、突然空いてしまった有木野のもとにやってきたのが鴻田だ。織田のことが頭をよぎり、捜査の相棒だからといって簡単に距離を縮められない有木野と人となりを知りたい鴻田は、最初はうまく噛み合わなかったが次第に互いを信頼していくようになる。“相棒”としては、手を取り合っているというより、指先を触れ合わせているような状態だったが、その鴻田の隣に、あろうことか有木野の“因縁の相手”である阿川がやってきた。

　有木野の心には、「阿川がまた鴻田を巻き込んで何かをするかもしれない」という不安や「『誤訳事件』をきっかけに織田と自分の関係を知られるかもしれない」というある種の怖さが渦巻いたことだろう。でも同時に「鴻田と一緒でなければ織田を失った悲しみを乗り越えることができない」という直感もあったはずだ。もしかしたら、その直感が有木野を衝動的に動かしたのかもしれない。有木野は鴻田へ、織田とのことを打ち明けた。そんな彼の手を取り、鴻田は「いいんだよ、アリキーノ、無理して話さなくていい」と優しく声をかけた。それでも有木野は「ずっと話したかった。あんたにしか話せなくて」と少しホッとした表情を見せた。

　恐る恐るであるが、しっかり手を取りあい、“相棒”としての絆を深めた鴻田と有木野。次回はいよいよ最終回。未だ実態が掴めない、人身売買組織と繋がる、通称・ボランティア（絃瀬聡一）と怪しい動きを見せる阿川。2人はこの闇にどう立ち向かっていくのだろうか。

■放送情報
ドラマ10『東京サラダボウル』（全9回）
NHK総合にて、毎週火曜22:00〜22:45放送
NHK BSP4Kにて、毎週火曜18:15〜19:00放送
再放送：NHK総合にて、毎週木曜24:35〜25:20放送
出演：奈緒、松田龍平、中村蒼、武田玲奈、中川大輔、絃瀬聡一、ノムラフッソ、関口メンディー、朝井大智、張翰、許莉廷、喬湲媛、Nguyen Truong Khang、阿部進之介、平原テツ、イモトアヤコ、皆川猿時、三上博史
原作：黒丸『東京サラダボウルー国際捜査事件簿―』
脚本：金沢知樹
音楽：王舟
メインテーマ曲：Balming Tiger
メインビジュアル・デザイン：大島依提亜
メインビジュアル・スチール撮影：垂水佳菜
演出：津田温子（NHKエンタープライズ）、川井隼人、水元泰嗣
制作統括：家冨未央（NHKエンタープライズ）、磯智明（NHK）
プロデューサー：中川聡子
写真提供＝NHK