内田有紀に聞く、デビュー時から変わらない“美の秘訣”　「今できることを考えた方がいい」

デビュー時から変わらない“美の秘訣”とは？

――松重さんは、現場でどのような動きをされていたんですか？

内田：ひとり何役もされていて、本当にすごかったです。さっきまで背広を着て演技をしていたのに、いつの間にかモニターの裏にいて「オッケー！」って言ってる……！　みたいな（笑）。松重さんはカメラにもお詳しいので、レンズや画角のことをカメラマンさんとお話しされている場面もありました。もともと、映画を撮りたかったとおっしゃっていました。

――そうだったんですね。

内田：撮影中も少年のようにキラキラと目を輝かせていらっしゃいました。松重さんには、「一緒に『孤独のグルメ』を作ってきた仲間で映画を作りたい」という夢もあったらしく。テレビドラマから続くアットホームな座組だからこそ、垣根のない現場作りができたんだと思います。

――役者としての松重さんはいかがでしたか？

内田：松重さんは派手に食べるわけじゃないのに、なぜか視聴者を没入させるんですよね。心の声を絶妙にフィットさせてくる感じも、やっぱりすごいなと思いました。

――『劇場版ドクターX』に続き、人気ドラマの劇場版への出演が続いていますが、内田さんはデビュー時から見た目がほとんど変わらないということでもたびたび話題になっています。何か美の秘訣があったりするんですか？

内田：美の秘訣かぁ……。あまり自分では意識したことがないんですよね。ただ、目の前にあるものに対して全身全霊を注いでいるだけなので。逆に言えば、ここ数年間、先のことを考えていないかも。

――“今”に集中する感じですか？

内田：そうですね。「この先どうなっちゃうんだろう」とか考える時間があったら、今できることを考えた方がいいかなって。あと、わたしはこの世界はオーケストラみたいだなと思っているんです。

――というと？

内田：例えばドラマや映画だと、監督が指揮者のポジションだったりするじゃないですか。私はひとつのパーツとして、指揮者が求める色に合わせるのが好きなんですよね。「こうしていきたい！」という気持ちがあまりないので、「こうしたら？」と言われて、「それいいね！」と乗っていく方が自分に合っている気がして。

――そのスタンスは昔からですか？

内田：そうですね。たとえば、若いときは「内田有紀＝活発」というイメージを持つ人が多かったと思うんですけど、いま考えたらそれもこのスタンスから来ているのかもしれないです。活発な自分でいたら、「素敵だね」と言ってもらえることが増えたから、嬉しくてそうしていた部分があったのかも。

――ほかに、変わらない部分はありますか？

内田：実る実らないかは別として、「努力」に頼っている自分がいると思います。「これだけ準備したんだから大丈夫」って自分を信じてあげる要素を作って、臆病な自分を一つひとつ消していきたいんです。努力していたら緊張しないから。

――たしかに。自分を信じてあげる要素を増やすのって、重要なことですよね。

内田：努力をしないで「やっぱりしておけばよかったな」と後悔するのも嫌ですし。一方で基本的になまけものなところもあるので、何かに向けて努力するというのは、意識をして継続していかないといけないなと思っています。

――「先のことは考えていない」とのことですが、この先なにかやりたいことや目標があれば教えてください。

内田：穏やかで朗らかな人でいたいですね。「あの人を見ると、ほんわかできるよね」と言ってもらえるような。わたしも、そういう人が好きなので、ほんわかとしたおばあちゃんになれたらいいなと思います。

■公開情報
『劇映画 孤独のグルメ』
全国公開中
監督：松重豊
脚本：松重豊、田口佳宏
出演：松重豊、内田有紀、磯村勇斗、村田雄浩、ユ・ジェミョン（特別出演）、塩見三省、杏、オダギリジョー
主題歌：ザ・クロマニヨンズ「空腹と俺」
制作：共同テレビジョン FILM
配給：東宝
©2025『劇映画 孤独のグルメ』製作委員会
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