鳴海唯が『Eye Love You』など躍進の2024年を経て目指すもの 「正解がないからこそ楽しい」
12月10日に惜しまれつつ、最終回を迎えたドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』(TBS系/以下、『あのクズ』)。主人公・ほこ美(奈緒)の妹で、スナックで働くシングルマザーのさや美を好演したのが、鳴海唯だ。
鳴海は、2019年にNHK連続テレビ小説『なつぞら』のオーディションで戦災孤児だったヒロインのなつ(広瀬すず)が育った柴田家の次女・明美役を射止め、華々しいドラマデビューを飾った。そこから着実にキャリアを重ね、2023年は大河ドラマ『どうする家康』でNHKドラマに帰還。本多忠勝(山田裕貴)の娘・稲役で堂々たる演技を披露すると、一気に世間の注目を浴びる存在に。
今年は二階堂ふみと韓国の人気俳優チェ・ジョンヒョプの共演で話題となった1月期放送の『Eye Love You』(TBS系)から始まり、多数のドラマや映画に出演。先日配信が始まったABEMAオリジナルドラマ『わかっていても the shapes of love』にも出演者の一人に名を連ねている。そんな大活躍だった1年を振り返るとともに、役との向き合い方や2025年に向けた展望を鳴海に聞いた。
1年前の目標を達成できた2024年
ーー今回の取材では、鳴海さんの1年を振り返っていけたらと思っていますが、その前に昨年出演された大河ドラマ『どうする家康』についてお話を伺わせてください。稲役が話題となりましたが、鳴海さんの俳優人生において、本作はこの作品はどんな位置付けになりましたか?
鳴海唯(以下、鳴海):私の俳優人生にとって、重要な作品になったことは間違いないです。NHKドラマにまた出演できたこともそうですが、『なつぞら』でご一緒したスタッフさんが多く携わっていたので、そこでもご縁を感じて嬉しかったですね。あんなにたくさんの偉大な先輩方のお芝居を近くで見て、感じられる機会もなかなかないですし、私は皆さんの前で啖呵を切るシーンも多かったので緊張もしましたが、成長につながる貴重な時間を過ごさせてもらったなと思います。
ーーそれ以前は比較的大人しめの役が多かった印象もあり、稲を演じている時のパワフルな雰囲気が新鮮でした。殻をひとつ破られたような印象を受けたんですが、実際のところはいかがでしたか?
鳴海:それまで演じてきた役とは確かに違ったんですが、稲を演じている時に違和感や抵抗感を覚えることが不思議と全くなかったんですよね。彼女が感じている怒りや、強い気持ちを理解できないなと思ったこともなくて。それはきっと稲というキャラクターが持っている要素を、私自身も持っているからなのかなと思います。だから、この役を通して自分がどう変わったかは分からないんですが、1年間作品を背負って立つ松本潤さんの背中を見れたことが私の中ではすごく大きかったです。私もこうなるためには、どれだけの時間と努力が必要なんだろうと常に考えていたので、仕事に対する覚悟がより強まったように感じています。
ーーそんな大河への出演を経て、2024年はより一層ご活躍でしたが、ご自身としてはこの1年を振り返ってみて、率直にどう思われますか?
鳴海:昨年も年末に取材を受けさせていただく機会があり、その時に「2024年はどのような年にしたいですか?」と聞かれて、「アウトプットの時間が増やせたらいいなと思っています」と答えたのを覚えています。今年はありがたいことにお仕事をいただく機会も増えたので、昨年自分が足りていないと感じたことや、やりたいと思いつつ、できなかったことを心置きなく試すことができました。その意味では、1年前に自分が語っていた目標を達成できたのかなと思います。
大反響だった『Eye Love You』と『あのクズ』
ーー特に『Eye Love You』と『あのクズを殴ってやりたいんだ』の2作品は、どちらも人気のTBS火曜22時枠のドラマで注目度も高かったと思います。鳴海さんは視聴者からの反響をどのように受け止めていましたか?
鳴海:民放ドラマに出演するのは『Eye Love You』が初めてだったんですが、こんなにもタイムリーに視聴者さんの反応が届くことにまずは驚きました。それが現場の士気にも繋がっていて、やっぱり反応が良いと、みんな「おっしゃー!」ってやる気になるんですよね。今まではすでに撮り切ったものを出すことが多かったので、同時進行で視聴者さんと一緒に作り上げているような感覚が新鮮で楽しかったです。あと、今までで一番友人から感想をもらったかもしれません。それも私が出演しているからではなく、純粋にドラマの内容に興味を持って観てくれた人が多くて。それはテレビの力もありますが、TBS火曜ドラマが注目されている証拠だと思うので、すごくありがたい環境に置いてもらっているってことを実感しながら撮影していました。
ーーリアルサウンド映画部でも『Eye Love You』に関連する記事を出すたびにかなりの反響があり、2024年内に放送されたドラマの中でも特にファンダムが盛り上がった作品だったと感じます。
鳴海:私も別の作品で地方ロケに行った時に、ロケ地を貸してくださる方から「仁科ちゃん(役名)だよね?」って言われてびっくりしました。そんなふうに声をかけてもらうこと自体が初めてだったので、本当にたくさんの方に観ていただけているんだなということを実感して嬉しかったです。Netflixでも配信されているので、日本のみならず、韓国をはじめ世界中の方が観てくださっているみたいで。今年6月に友人がいるカナダに一人で訪れたんですが、そこでも『Eye Love You』を観てるって方に出会いました。