『ライオンの隠れ家』向井理演じる祥吾は“悪人”なのか? 終盤の展開を考察

 柳楽優弥主演のTBS金曜ドラマ『ライオンの隠れ家』。第6話は、これまで謎とされてきたライオン(佐藤大空)が小森家にやってきた理由と経緯が明かされた。ここから問題解決に向けて登場人物たちはどのような選択をしていくのか。これまでの流れを振り返りつつ、終盤に向けた展開や期待を考察してみたい。

※本稿は第6話までのネタバレを含みます

 これまでの経緯をまとめると、浦尾市役所福祉課に勤務する青年・小森洸人(柳楽優弥)は、両親を事故で亡くしてから、自閉スペクトラム症の弟・美路人(坂東龍汰)と平穏な毎日を過ごしていた。そんな凪のような生活を過ごしていた2人の前に、突如「ライオン」と名乗る謎の少年が現れることから物語は始まる。

 ライオンの母親は洸人が10歳、美路人が6歳の時に一瞬だけ暮らし、家を出て行ったきり行方不明となっていた姉・愛生(尾野真千子)だった。そしてライオンの本名は橘愁人。父親は山梨県で建築会社「たちばな都市建設」を経営している橘家の次男の橘祥吾(向井理)で、祥吾のDVに耐えきれなくなり、逃がし屋であるX=柚留木(岡山天音)に愛生は逃亡を依頼。柚留木は愛生が息子と無理心中したという偽装死を企てる。

 一方、祥吾は行方不明届を提出し「母子行方不明事件」として世間で騒がれるようになる。よっぽど祥吾のDVが酷かったのだろうか、用意周到で実行するはずが予定外に早まり、無一文で飛び出した愛生は新宿のキャバクラで働きつつ身を潜め、唯一の家族である洸人に愁人を預けた。

 実は2015年に結婚の報告のため、洸人の母・恵美(坂井真紀)と会っていた愛生。もしかしたら当初は両親が死んでいることを知らずに、息子を小森家に託したのかも知れない。

 柚留木が洸人にこれまでの経緯を話した時、息苦しそうにしていたことから、彼もまたDVされていた経験があるのではないか。金銭が一番の目的ではなく、愛生も見捨てずに協力していると予想する。

 洸人の同僚・牧村美央(齋藤飛鳥)が柚留木に協力した理由は、保育所で新人だった頃にある児童が虐待を受けていることに気付いたものの助けることができなかった過去があるから。第5話で愛生が柚留木との契約を終わりにしてまでも愁人に会いたくなり、警察が見張っているにも関わらず遊園地で待ち合わせをした際に、突如美央が現れ、母子の再会を目前で阻止したのも、警察が母子を保護したら子供は父親の元に返されるのを見越しての柚留木の指示だろう。

 結果、愛生が警察に確保されることに。ちなみに愛生の逮捕理由は、逃げざるを得ない状況になり、逃亡資金が足りずキャバクラの同僚の財布を盗んだ罪。柚留木は洸人に事の経緯を説明した時に「これが最後の手段」と言っていたが、愛生は警察や行政に相談しても聞き耳をもってもらえなかったと思われるので、愛生が警察に「私が息子を殺しました」と供述しているのは、自分が犠牲になっても愁人が自由の身になれると考えての行動だろう。

 現段階で一番の問題は祥吾の背景だ。愁人の5歳の誕生日の時の親子3人での仲の良い写真の笑顔は偽りではないはず。そう考えるとこの1年で祥吾がDV夫になる変化があったということ。現在、祥吾が働く「たちばな都市建設」は山梨のリニア周辺事業を展開しようとしていて、代表は兄の春一(黒田大輔)、祥吾は平社員として事業に携わっている。記者の楓(桜井ユキ)と天音(尾崎匠海)は情報通のスナックのママ・かすみ(入山法子)からリニアの地上げ問題の垂れ込みを聞き、2人が6股の不倫疑惑で追っていた(後に7股と判明)亀ヶ谷議員(岩谷健司)が、リニアの工事に便乗して裏で派手に地上げをしていることを調査している。

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