『るろうに剣心』京都編、第一期からの変更点とは? 監督&Pが語る“今の剣心”だからの表現

カッコいいバトルと面白いギャグの緩急

ーー『るろうに剣心』という人気作の中でも、「京都編」はとりわけ人気の高いエピソードです。方向性などは具体的にどう決めていったのですか?

駒田:大筋のストーリーラインは原作に準拠するかたちですので、キャラクター描写に関しても原作と地続きの方向性でやっていくことになります。第二期では舞台が東京から京都に変わりますので、そうした観点で細かい変更点があります。例えば音楽について。第一期の時は“新しい剣心”ということもあってか意識的に和楽器みたいなのは外していたようなのですが、今回は京都ということもあってもう少し時代劇よりにして、“和”のニュアンスも入れてもらっています。それと、京都を描くにあたって美術設定の上原伸一さんが京都在住なので、たくさん調べて提案してくださって、とても助かっています。例えば、“京町家”の入り口は狭いけれど奥に長かったり、屋根が並びで同じような角度になっていたりするようなので、そういう細かい特徴を反映することができていると思います。

ーー基本的に原作準拠の展開になるとのことですが、とはいえ映像にする上でアレンジが必要なところも出てきますね。

駒田:和月先生も本読みに参加してくださり、ご意見いただくこともあるのですが、「自分は漫画家だから」という言い方をされてアニメのことは私たちに任せてくれている感じです。メディアの違いも認識しつつ、和月先生は「今の剣心を見せてほしい」とおっしゃっていました。1996年にアニメ化された時はまだデジタル環境でもなかった時代でしたが、今ならばその当時できなかった表現もできるようになっています。そういうことに挑んでほしいのだと思っています。

ーー和月先生は、アニメ第二期にも関与されているのですね。

丹羽:シナリオ会議は、第一期から変わらず出ていただいていて、ご意見をいただいています。

駒田:私個人としては「原作ものは原作通り」を基本にしたいタイプなのですが(笑)。当時、週刊連載でどうしても描ききれなかった部分があるとのことで、そういった部分はシナリオで調整して反映しています。とはいえ、「楽しんでくれれば嬉しい」というスタンスで先生はおっしゃってくれています。なので脚本の倉田英之さんも含めて、臨機応変にアレンジを楽しんでいるというか、あまり硬くなりすぎずに上手く調整しているという印象ですね。

ーー「今の剣心」というのはいろいろな解釈ができそうです。

駒田:キャラクター性や物語を変えるというより、映像表現でのことだと思っています。例えば、墨のようなタッチのカットを作ったり、原作コミックスの表紙にもあったような和柄のテクスチャーみたいなトーンを入れたりとか。90年代にはあまりできなかった表現が今はデジタルで可能になったものもあるので、そういう表現は意識的に入れていくようにしています。

ーーなるほど。

駒田:あとはギャグっぽい表現を第一期より増やしています。この作品はカッコいいバトルシーンもあるけれど、その緩急で面白いギャグもあったなと、過去にマンガを読んでいた時の印象があったので。そういうのもなるべく削らずに残したいなと思って、尺が許す限りは入れています。

ーー第25話の脚本と絵コンテを読ませていただきましたが、津南の作った炸裂弾が殺傷力の高そうなデザインに変わっていますね。

駒田:シナリオ会議で和月先生から爆発映えする炸裂弾にしたらどうか? となり、実際にあるドイツ製のものを参考に、かなり原作からデザインを変更しています。ほかの話数ですと、大型甲鉄艦“煉獄”も志々雄一派がより活躍できるよう、相談して盛り上げています。ほかにもいろいろ考えておりますので、楽しみにお待ちいただければと。

アニプレックスにとっての『るろうに剣心』

ーーそもそも論になりますが、『るろうに剣心』というタイトルはアニプレックスにとって重要な作品ですよね。

丹羽:そうですね。とにかく、全ての規模が大きいので、大変ではあります。実際、1996年に既にアニメ化された作品で、実写映画も大成功していてマンガも世界的に売れているので「これ以上何を頑張るのか?」というところまで来ている作品だと思います。全てのメディアミックスが成功しているわけですから。だからこそ、新シリーズとしてきちんと良いものを作って、またみんなが剣心のことを好きになってもらって、この次の10年、20年へと続いていけるような、しっかりとした礎を作らなければならないと責任を感じています。第一期が始まる前に先行上映会で海外に行きました。昔からこの作品を知っている方の期待は当然大きいのですが、若い方もたくさん会場に来てくれていました。国内外どちらも、大きなタイトルだからと胡坐をかかずに、新作として良いものを届けたいと思って取り組んでいます。

ーー最後に、楽しんでくれているファンの方に向けて一言お願いいたします。

駒田:みなさんに楽しんでもらえるように頑張ってつくっていますので、よろしくお願いいたします。

丹羽:『るろうに剣心』のファンにも、アニメファンにも駒田監督の演出の凄さを知ってほしいと思います。きっとこれからも多くの作品で活躍される方だと思うので、「京都編」をどう料理するのか、楽しみにしていてください。

■放送情報
『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』第2期「京都動乱」
フジテレビ“ノイタミナ”ほかにて、毎週木曜24:55〜放送
Prime Videoにて、毎週金曜12:00〜先行配信
その他配信プラットフォームにて、毎週月曜12:00〜配信
キャスト:斉藤壮馬(緋村剣心役)、高橋李依(神谷薫役)、小市眞琴(明神弥彦役)、八代拓(相楽左之助役)、大西沙織(高荷恵役)、内田雄馬(四乃森蒼紫役)、日野聡(斎藤一役)、山根綺(巻町操役)、中村悠一(比古清十郎役)、古川慎(志々雄真実役)、山下大輝(瀬田宗次郎役)、戸松遥(駒形由美役)、羽多野渉(悠久山安慈役)、岡本信彦(沢下条張役)
監督:駒田由貴
シリーズ構成・脚本:倉田英之
シリーズ構成・脚本協力:黒碕薫
脚本監修:和月伸宏
キャラクターデザイン:西位輝実、渡邊和夫
プロップデザイン:小菅和久
副監督:牧野吉高
アクションディレクター:菊地勝則
美術監督:齋藤幸洋
色彩設計:篠原愛子
3DCGI:松永航、中森康晃
撮影監督:髙津純平
編集:長谷川舞
音楽:髙見優
音響監督:納谷僚介
音響効果:小山恭正
アニメーション制作:ライデンフィルム
第2期第1クールオープニングテーマ:キタニタツヤ×なとり「いらないもの」
第2期第2クールエンディングテーマ:NOMELON NOLEMON「水光接天」
©和月伸宏/集英社・「るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-」製作委員会
公式サイト:https://rurouni-kenshin.com
公式X(旧Twitter):@ruroken_anime
公式Instagram:@ruroken_official
公式TikTok:@ruroken_official

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