『カムカム』は朝ドラとして何が画期的だったのか 3世代ヒロインだから描けたもの

 NHK連続テレビ小説こと朝ドラは、平日毎朝15分(当日昼に再放送/BSでは総合より前の7時半から放送)の放送が半年間続き、多くは女性の一代記として主人公の生涯が描かれる。ヒロインの人生の浮き沈みを観ることは、単なるエンタメとしての面白さを超え、私たちの日々の生活に寄り添い活力を与えてくれる。

 10月18日に、2021年度後期に放送された朝ドラ『カムカムエヴリバディ』(NHK総合/以下、『カムカム』)が再放送されることが発表された。現在放送中の『おむすび』を合わせると、朝ドラはすでに111作も作られている中、本作は朝ドラ史に残る名作として多くのファンに特別愛され、いまも再放送への喜びの声が相次いでいる。

 いったい『カムカム』は朝ドラとして何が画期的だったのだろうか? 3つのポイントに絞って魅力を振り返る。

全体構成の秀逸さ

 まずは、やはり3世代ヒロインが100年の歴史を紡いでいく、という構成が秀逸だった点があげられる。

 初代ヒロインの安子(上白石萌音)と娘・るい(古川凛)の壮絶な別れ、成長したるい(深津絵里)が結婚し家族を持つまで、るいの娘・ひなた(川栄李奈)が自身の夢に向かって邁進していく姿……1人のヒロインでは描くことができない、各パートごとの三者三様の面白さがあった。そして、それと同時に3世代を貫く「ラジオ」と「英語」。言語を学ぶということがいかに生活を豊かにするのか、人と人をつなぐことができるのか。3人のヒロインは成功ばかりではなく、失敗もたくさんした。そして、いくつになっても、やり直すことができること、何かを始めることに遅くはないことを彼女たちの姿を通して描ききっていた。

キャスト陣の適材適所ぶり

 そんな3世代ヒロインたちはもちろん、彼女たちを支えるキャスト陣の演技が魅力的であったことも重要なポイントだ。

 安子の夫・稔役の松村北斗、るいの夫・錠一郎役のオダギリジョー、ひなたの恋人・文四郎役の本郷奏多など、本作を通してその魅力が再発見された役者陣も多かった。安子の兄・算太役の濱田岳や、稔の弟・勇役の村上虹郎の老いた演技も素晴らしかった。3世代のヒロインたちの周りを固めるキャストたち全員が適材適所と言えるハマりっぷりだった。

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