『あのクズ』玉森裕太のクズぶりに目が離せない 踏んだり蹴ったりな役を好演する奈緒
「いつもついて来てくれて側にいてくれる気がする」とほこ美が話していた月に自分がなると言い出した海里の言葉に、その後のキスに、これはもう2人は付き合ったということなのかと思いきや、ここから海里の本性が炙り出されていく。
街中で飲み会帰りの酔っ払ったバーの女性客に声を掛けられただけでなく、海里の首元に手を絡ませ慣れた手つきでキスをする。そして彼女は「海里は誰のものにもならない」と言い残す。まさしく海里こそがクズだったのだ。
海里役を演じる玉森が本作同様にTBS火曜22時枠に出演したのが『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(以下、『ボス恋』/TBS系)だが、その際にもカメラマンの宝来潤之介役を好演していた。潤之介も掴みどころがなかったものの、擦れたところがなく超天然のマイペースぶりで悪気なく周囲を振り回す役どころだった。
本作の海里は面白いことに飢えており、常に予定調和で刺激のない日々に辟易しているような一幕が見受けられる。だからこそ、結婚式当日に逃げる新郎を思いっきり追いかけ顔面からずっこけるほこ美に興味を持ったのだろうし、ほこ美とすれ違いざまにその時の写真を落とし偶然を装って話すきっかけを作ったのだろう。
ゲームセンターのUFOキャッチャーでは大学院まで学んだ物理学の観点を生かし、バーにもおそらく初めて通うだろうほこ美に興味を持ってはいたものの、他の女性同様に簡単に自分を受け入れ、簡単に自分との奇跡や運命を信じる様にどこかでガッカリしていたのかもしれない。
海里の脱力系の佇まいとなんだか固く閉ざされていそうな心のロックがなぜ掛けられたのか気になるところだ。彼のクズぶりこそがほこ美をボクシングジムに向かわせたきっかけだが、きっと彼自身も何らかボクシングと関わりがあるのだろう。思わずボクシングのファイティングポーズをとるような一幕も観られ、盛大にほこ美を切り捨てた後自宅のシャワーを浴びながら自己嫌悪に陥っていそうなシーンも観られた。彼から“夢中になれるもの”を奪った過去の出来事はどんなことで、そこにどうボクシングが関わっているのかも注目したい。
■放送情報
火曜ドラマ『あのクズを殴ってやりたいんだ』
TBS系にて、毎週火曜22:00〜22:57放送
出演:奈緒、玉森裕太、岡崎紗絵、小関裕太、倉悠貴、鳴海唯、玉井詩織(ももいろクローバーZ)、晝田瑞希、渡部篤郎、斉藤由貴
脚本:泉澤陽子、鹿目けい子
プロデュース:戸村光来、佐井大紀、宮﨑真佐子
演出:岡本伸吾、石井康晴、小牧桜
主題歌:PEOPLE 1「メリバ」
©TBS
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