映画『虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章』に凝縮された“ニジガクの魅力”

お台場から沖縄へ、実在の舞台で再発見する“ニジガクの魅力” 

 映画『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章』の舞台となっているのは、沖縄でも有数の賑わいを見せる国際通りや美ら海水族館水族館、愛のシーサー公園といった実在の場所。そこで、スクールアイドルたちがすばらしいパフォーマンスを繰り広げる姿がとても楽しそうで、観ていて幸せな気持ちになってくる。「ニジガク」のTVアニメシリーズでは、お台場エリアや臨海副都心の各所をステージにして、スクールアイドルたちがパフォーマンスを披露する「スクールアイドルフェスティバル」が開催された。映画はその会場が沖縄に移って、規模も全国的になったものだと言える。

 映画では、そうしたパフォーマンスを見せる映像が実にダイナミックで華やかに演出されていて、引き込まれる。カメラが自由に回り込み、リアルからバーチャルへと自在に行き来するスクールアイドルたちのパフォーマンスを、大きなスクリーンで最高の音響で観て聴くと、自分がその場にいるような気になってくる。応援上映ならなおのこと、作品に参加している意識が高まる。

 Dolby Cinemaのようなハイクオリティの映像・音響空間での上映は、スクールアイドルたちの歌声がより強く心に響いてくる。4DXの場合は、カメラの動きに合わせて座っているシートが動き、自分がカメラになってスクールアイドルたちに迫っている感覚を味わえる。プールのシーンで吹き出る水はなかなか強烈だが、それも没入感を高める演出のひとつ。試せる機会があるなら試さない手はない。そうした映画を通して、沖縄に行ってみたいという気持ちが高まってくるだろう。

 『ラブライブ!』『ラブライブ!サンシャイン!!』に続く『ラブライブ!シリーズ』第3作『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』がフィナーレに向けて動き始めた。9月6日から映画『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章』の劇場上映がスタート。全3章を通して紡がれる物語は、同好会のメンバーとスクールアイドルを応援する人たち、そして『ラブライブ!シリーズ』をどこに連れていってくれるのか――。

『完結編 第1章』が描く「スクールアイドルGPX」の幕開け

 お台場にある虹ヶ咲学園のスクールアイドル同好会に「スクールアイドルGPX(グランプリ)」の招待状が届いた。スクールアイドルなら誰でも参加できて、個人でエントリーできる「スクールアイドルGPX」は、ニジガクにとってピッタリのイベントだ。

 それは、ニジガクがメンバーひとりひとりの思いを尊重して、自由にパフォーマンスすることを認め合っている集団だったから。スクールアイドルが学校を代表して出場する全国大会「ラブライブ!」での優勝を目指すことだけが、正解ではない。自らが表現したいパフォーマンスを繰り広げ、ファンと喜びを共有するのもスクールアイドルにとって大切なこと。そうしたスピリッツが息づくニジガクのメンバーの目には、個人が自由に参加できる「スクールアイドルGPX」はめいっぱい輝ける場所に映ったのだろう。

 第1章では上原歩夢、中須かすみ、桜坂しずく、近江彼方、エマ・ヴェルデ、鐘嵐珠の6人が会場のひとつとなっている沖縄へと向かう。桜坂しずくのパフォーマンスによって幕を開けた「スクールアイドルGPX」のなかで展開するメンバーの成長を描いていくのが、映画『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会 完結編 第1章』のメインストーリーだ。

 振り返れば、『ラブライブ!シリーズ』は、舞台となっている場所に行ってみたいと思わせてくれるところがあった。第1作の『ラブライブ!』は、東京の神田や秋葉原といった地域がモデルとなった場所が舞台で、『ラブライブ!サンシャイン!!』は沼津を舞台に、劇場版では函館なども登場させて、ファンの脚をそうした“聖地”へとむかわせた。現地もそうしたファンとのふれあいを歓迎してくれていた。たとえば沼津には、Aqoursのメンバーが描かれたマンホールが設置されていて、コンプリートを目指すファンが今も通りを行き交っている。

 「ニジガク」もTVアニメシリーズはお台場が舞台になっていて、レインボーブリッジだったり、ショッピングモールだったり、等身大のユニコーンガンダム立像だったりと、見覚えのある建物や風景を登場させてファンの関心を現地へと向けさせた。今回の映画も、どうせならニジガクの“聖地”で見たいと、お台場にある映画館に行って立ち並ぶメンバーのパネルやポスターに囲まれながら鑑賞するファンが絶えない。

 完結編の第1章が沖縄を舞台にしたことで、「ニジガク」と『ラブライブ!シリーズ』のファンの意識は沖縄にも広がった。なおかつ、そこで繰り広げられるスクールアイドルとファンの交流の楽しそうな様子が、「スクールアイドルがいてファンがいる。それで良いんじゃない?」というTVアニメシリーズ1期第3話の侑のセリフであり、それを形にしてみせたイベント「スクールアイドルフェスティバル」の感動を思い出させてくれた。この映画がTVアニメシリーズと地続きであることが随所で感じられるだろう。

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