『新宿野戦病院』想像を超える宮藤官九郎の脚本力 終盤はチャレンジングな展開に?
それぞれの役柄を演じているのが佐津川愛美と浜中文一、駒井蓮というゲストキャストの豪華さも見逃せない部分ではあるが、“カスハラ”のくだりは聖まごころ病院のハートウォーミングで信頼できる者たちばかりが集まっているという空気感を、陰茎切断のくだりはヨウコの腕によって救急病院としての処置の適切さを、自殺未遂のくだりは先述の三角関係のエピローグ的役割としてそれぞれ効果的にはたらいている。これがシンプルな病院群像劇であれば、和気あいあいとした飲み会のシーンでそのまま幕を下ろすという選択肢もあったのだろう。
しかしそうはならないのが宮藤官九郎ドラマの油断ならないところ。いきなり物語に不穏な空気が立ちこめたまま2025年へと移行し、突如として異物のように侵入してくる“新型ウイルス”の気配。現実の新型コロナウイルスによるパンデミックを経験したことで、ここ数年の医療関係のドラマでは外せないテーマとなったパンデミックが、よりにもよって新型コロナを乗り越えた先にある世界線の物語上で、また新たなウイルスによって再び引き起こされるとは誰が想像できようか。あのコロナ流行期に真っ先に感染源として槍玉に挙げられたのが“夜の街”であり、歌舞伎町であった。これはとんでもなくチャレンジングな終盤がやってくるに違いない。
■放送情報
『新宿野戦病院』
フジテレビ系にて、毎週水曜 22:00~22:54放送
出演:小池栄子、仲野太賀、橋本愛、平岩紙、岡部たかし、馬場徹(ドランクドラゴン)、塚地武雅、中井千聖、濱田岳、石川萌香、萩原護、余貴美子、高畑淳子、生瀬勝久、柄本明ほか
脚本:宮藤官九郎
プロデュース:野田悠介
演出:河毛俊作、澤田鎌作、清矢明子
制作:フジテレビ ドラマ・映画制作部
制作著作:フジテレビジョン
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