毎田暖乃、3度目の朝ドラでも“強さ”を見せるか 『虎に翼』優未としての的確な演技

 放送中の朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)では第20週「稼ぎ男に繰り女?」より、物語の舞台は再び東京へ。ヒロイン・寅子(伊藤沙莉)を囲む家族たちは成長し、新たな顔ぶれでこの作品の世界を盛り上げているところだ。

 ここで注目なのが、成長した寅子の娘の優未の存在。演じているのは毎田暖乃である。

 ひと月ほど続いた「新潟編」では、裁判官としての寅子の成長とともに、彼女と優未の母娘関係にもスポットが当てられていた。かつての優未は幼いながらに忙しい母に負担をかけぬよう、いわゆる“良い子”であろうとしてきたものだ。しかしこれでは母娘の関係として健全なものだとは言い難い。そんなふたりのわだかまりが溶けていく過程を、丁寧に描いてきたのだ。“母娘”という関係性の記号的な側面に囚われず、それぞれを固有の人格を持った、かけがえのないひとりの人間として描きながら。

 成長した優未はとても落ち着いていて、目の前の物事を的確に捉える力を持っている。母である寅子が持っている力を、彼女も受け継いでいるようだ。だからといって彼女は達観しているわけではない。年相応のあどけなさを持っていて、周囲に気配りのできる優しい子だ。

 出演に際して毎田は、「家族のあり方や様々な問題が今後も描かれますが、優未を演じる中で私自身も勉強になる事が多くありました。優三さんが持つ優しさを、優未の中にも感じていただけたら嬉しいです」とコメントしている(※)。現在の優未は、いろいろな問題に直面する寅子の理解者として寄り添いつつ、あの優三(仲野太賀)のような、そこにいるだけで場が温かくなるような存在になりつつある。演じる毎田はすでに目標を達成できているといえるのではないだろうか。

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 さて、そんな若き演技者である毎田暖乃。彼女が優未を演じる者として発表されたときには、なかなかに興奮したものだ。これまでの出演作に刻んできた演技に、いつも魅せられてきたからである。

 彼女が朝ドラに出演するのは、すでにこれで3度目だ。戸田恵梨香が主演を務めた『スカーレット』(2019年度後期)への参加に続き、『おちょやん』(2020年度後期)に出演。杉咲花が演じるヒロイン・竹井千代の幼少時代パートを生き、彼女のたくましい演技が物語の序盤の展開を力強いものにしていた。周囲の俳優たちは誰もがキャリアのある実力者たち。その中での毎田のパフォーマンスは、子役が一生懸命にセリフを言う、などといった次元を遥かに超えていた。“ヒロインの幼少期役”などではなく、毎田もまた完全なるヒロインだったのだ。さらには千代の姪としても再登場。一人二役をやってのける姿に、またも驚かされたのだった。

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 もうこの時点で毎田に対する信頼度はかなりのものだったが、『妻、小学生になる。』(2022年/TBS系)での名演の連発で、それは絶対的なものとなった。同作の主人公は堤真一が演じる愛妻家。そんな彼の妻が亡くなってしまい、10年が経ったところから物語ははじまった。毎田が演じたのはこの妻の生まれ変わりの小学生。見た目は子ども、中身は大人、である。

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