『ゲゲゲの鬼太郎』第2期が“特別”である理由 シリーズ屈指の恐怖度と社会風刺が魅力に
第3話の「妖怪大裁判」は第3期(1985年)、第4期(1996年)、第5期(2007年)、第6期(2018年)の全ての『ゲゲゲの鬼太郎』でリメイクされた有名エピソード。妖怪・百々爺(ももんじい)の策略で濡れ衣を着せられた鬼太郎が裁判にかけられて、身体を溶かす刑に処されそうになり、現場から全裸で逃亡するというもの。リメイクされるたびに細かいアレンジがあり、事件の発端から裁判に関わるキャラクター、オチも変わっているが、初めて同名の原作がアニメ化された第2期が、もっとも変更点が少なく原作に近い展開である。近作の第6期を観ていた人は、今回の放送で違いを見比べると良いだろう。
第2期では、映画会社をまるめこんで大金をせしめるねずみ男のやり手ぶりが愉快。ちなみに第2期の第1話に登場する泥田坊も第3期以降の全てのテレビシリーズでリメイクされている。地方の土地開発が進んで田畑が失われ、大人しい田んぼの妖怪が怒る部分に現代人への警鐘とメッセージ性が感じられるからだろう。
現時点では最新のシリーズにあたる『ゲゲゲの鬼太郎』第6期で、この第2期からオリジナル編の第10話「アンコールワットの亡霊」、第41話「霊形手術」、第43話「足跡の怪」の3本もリメイクされた(「アンコールワットの亡霊」は厳密にはリメイクというより後日譚的な内容)。リメイク版はいずれも怪奇・ホラー物に造詣が深い演出家の角銅博之が、第2期の空気感や恐ろしさを日曜朝の番組向けに上手く咀嚼した絵コンテで仕上げていた。数ある『鬼太郎』のアニメ化作品の中で、なぜ第2期がファンにとって特別感のあるシリーズなのか、現代にリメイクされるほどの名作なのかを感じられるはずだ。びっくりするほど救いのない暗いエピソードから、正統派の妖怪退治のアクション編まで、東映チャンネルの放送でたっぷりとその魅力に浸っていただきたい。
■放送情報
『ゲゲゲの鬼太郎』(第2期)
東映チャンネルにて、8月20日(火)放送スタート
※8月4日(日)15:30~16:00、第1話先行無料放送
監督:白根徳重、西沢信孝、山口康男 ほか
脚本:雪室俊一、安藤豊弘、三芳加也 ほか
出演:野沢雅子、田の中勇、大塚周夫、小串容子
©水木プロ・東映アニメーション
公式サイト:https://www.toeich.jp/program/1T0000008281/202408