『虎に翼』視聴者の心を掴む伊藤沙莉の唯一無二の“声” 朝ドラヒロインに共通する“武器”に

 NHK連続テレビ小説『虎に翼』で、ヒロイン・寅子を演じている伊藤沙莉。彼女は特徴のあるハスキーボイスが印象的で、主題歌「さよーならまたいつか!」を担当する米津玄師は、伊藤の声を「ゲインの効いた声というか、1回聞いたら忘れない独特な声をされている」と絶賛している(※)。

 音楽用語でいうゲインとは、ミキサーに入力された音の信号の大きさを調整するもので、ゲインを上げると音がアンプ内で増幅し、割れた音に変化する。絶妙な割れ具合と言ったら変かもしれないが、伊藤の声は耳心地の良いハスキーさなのではないだろうか。

 伊藤の声は、科学的にも唯一無二の個性を持っているようで、以前トーク番組『徹子の部屋』(テレビ朝日系)に出演した際、医師から「見たことのない声帯の形をしている」と言われたことを告白している。そのとき、医師からは手術をすれば声が枯れにくくなるが、その代わり“クリーンな声”になってしまうと提案され、「この声で覚えていただいていることが多いから」と手術を断ったのだという。

伊藤沙莉の浅草氏は最高だ! 『映像研には手を出すな!』没入に誘うハスキーボイス

深夜に放送されているアニメ『映像研には手を出すな!』(NHK総合)に毎週目を潤ませてばかりである。アニメ製作に没頭する女子高生3…

 伊藤は、2020年にTVアニメ『映像研には手を出すな!』で主人公・浅草みどり役を担当。本職の声優に混じっても引けを取らない、堂々とした演技を見せた。2022年には、新海誠監督のアニメ映画『すずめの戸締まり』で二ノ宮ルミ役の声優に抜擢されており、声を活かした出演作も多い。

 奇しくも次の朝ドラとなる、2024年度後期作品『おむすび』でヒロインを務める橋本環奈も、見た目とギャップのあるハスキーボイスが人気の俳優として知られいる。橋本はアイドル出身ということもあって、最初に彼女の画像だけを見たときは、ハスキーな声を想像できなかったが、映画『暗殺教室』(2015年)や『銀魂』(2017年)など、さまざまな作品で演じる橋本を観るようになると、すぐに彼女の声に慣れ、段々とクセになってくる。

 近年、伊藤や橋本をはじめ、耳に残る声を持つ女性俳優が相次いでブレイクしている。表情や所作といった目に見える演技だけでなく、声からも視聴者の心を掴むことができるのは、俳優として一つの武器になると思う。シンガー出身で、『キリエのうた』(2023年)に主演したり、『SING/シング:ネクストステージ』(2022年)では日本語吹き替えをしたアイナ・ジ・エンドも、独特なハスキーボイスで、もっと聞きたいと思わせる素敵な声だ。

 『不適切にもほどがある!』(TBS系)や、映画『あんのこと』、『ナミビアの砂漠』など、2024年も出演作が絶え間ない河合優実も、魅力的な低音ボイスで視聴者を魅了している。

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