大島優子、脇役でこそ光り輝く頼もしさ ドラマを引き立てる“内面の弱み”の演技

 また、表情で感情を表現するのが上手いからこそ、逆に陰のある役やテンション低めの役柄も巧みに演じ、映画『紙の月』でヒロインの同僚の銀行員のように、ジョーカー的なミステリアスさも感じさせるなど、心の底で何かを企んでいる役にも対応できる。なので、彼女がいることでリード、ミスリードどちらでも転がせられるところが曲者役者と思わせる所以だ。それはつまり、ヒロインよりも脇役の方が大島の魅力を活かせるという理由でもある。

 『GO HOME』での桜と真には、個人個人には色々と深い思いや抱える問題があり、桜には飛び降り自殺未遂の過去、そして真の人物紹介には「週刊誌の記者だった真が、この部署を志願した背景には、ある哀しい過去があった」とある。いつもは明るいのに、愛する人の死体の可能性があった時の不安な表情からの、別人だと分かり安堵の表情を見せたり、第1話で白骨遺体で見つかった富田純也(浅利陽介)に対し、死んでいるのを認めたくない妻・聡美(仁村紗和)が親身になる真の姿に同じような経験をしていると思い、「誰かを待ってるんですか」と尋ねると、「私はもう待ちくたびれました」と、どこか達観した笑顔で答える時の表情はさすがだった。

 そうした辛い過去であったり、諦めてるけどやはり捨てきれない希望、真実を知りたいけど知ると死を認めてしまうという感情、そうした内に秘めたものがあるからこそ、普段は明るくふるまう人物像に深みが出てくる。そして“疲れた大人”の表情を見せることができるのも、年齢を重ねたいまの大島だからこそなせる技。これが大島が役者として培ってきた表の強みと、内面の弱みの演技を最大限に活かした役柄となっているのだ。

■放送情報
『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』
日本テレビ系にて、毎週土曜21:00〜放送
出演:小芝風花、大島優子、阿部亮平、柳美稀、戸次重幸、半海一晃、高島礼子、吉田鋼太郎
脚本:八津弘幸、佐藤友治
音楽:横山克
チーフプロデューサー:松本京子
プロデューサー:荻野哲弘、鈴木将大、本多繁勝(AX-ON)
演出:菅原伸太郎、大谷太郎ほか
制作協力:AX-ON、アバンズゲート
製作著作:日本テレビ
©︎日本テレビ
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