MEGUMIのコメディエンヌぶりが炸裂! 『ビリオン×スクール』会話劇に感じる“ライブ感”

 京都を拠点にコメディを上演する劇団「ヨーロッパ企画」の看板俳優・永野宗典が演じるのは長期海外赴任中の校長・東堂真紀子(水野美紀)に代わり、学校の運営を任されている教頭の土橋淳平だ。常に加賀美の言動に目を光らせており、事なかれ主義なところはあるが、悪役っぽさはなく、抜群のコメディセンスの持ち主である永野が自由度高く演じている。

 そんな土橋の太鼓持ちを担うのが、国語教師の溝口信雄(坂口涼太郎)。坂口といえば、2023年度前期放送のNHK連続テレビ小説『らんまん』で主人公の万太郎(神木隆之介)に何かと突っかかる分家の伸治を演じたことも記憶に新しい。今回も土橋教頭の背後から加賀美に嫌味を吐きまくるウザキャラだが、坂口のすごいのはどこかに憎めなさを残すところ。伸治がそうだったように、溝口も見れば見るほど愛着が湧いてくるキャラクターとなりそうだ。

 ゼロ組のことを“底辺クラス”呼ばわりし、極力関わりたくないと思っている溝口とは対照的に、生徒たちに愛を持って接するのは英語教師の光井ひかる(志田未来)だ。子役からキャリアをスタートさせ、現在も名バイプレイヤーとして数々の作品を支える志田未来が生徒は皆平等という立派な教育理念を持ちながらも、問題児を他の生徒たちから遠ざける学校のやり方に抗議できない矛盾を孕んだキャラクターを体現している。山田とは『探偵学園Q』(日本テレビ系)以来、約17年ぶりの共演となる志田。抜群のコンビネーションでともに教師として成長していく姿を見せてくれるのではないだろうか。

 そんな一癖も二癖もある教師陣が、加賀美やその秘書・芹沢一花(木南晴夏)を巻き込んで繰り広げる会話劇はもはやアドリブ合戦と化している。特筆すべきは、演出を『おっさんずラブ』(テレビ朝日系)シリーズの瑠東東一郎、脚本を『おしゃ家ソムリエおしゃ子!』(テレビ東京系)やTVerオリジナル作品『潜入捜査官 松下洸平』など、コメディに強い元芸人の我人祥太が脚本を担当していることだろう。

 2人が携わってきた作品に共通するのは作り込み過ぎていない“ライブ感”で、教員室での会話劇にはそれが顕著に表れている。特に印象的だったのは、土橋、溝口、堺の3人が大事MANブラザーズの「それが大事」を歌い出すも、歌詞があやふやで山田涼介が思わず素で笑ってしまう場面。こうした役者の生の反応を楽しめるのも、アドリブ会話劇の醍醐味だ。今後も職員室での一コマはメインのストーリーとは少し離れたところで視聴者を和ませてくれる本作の名物となるだろう。

■放送情報
『ビリオン×スクール』
フジテレビ系にて、毎週金曜21:00~21:58放送
出演:山田涼介、木南晴夏、水沢林太郎、松田元太(Travis Japan)、大原梓、山下幸輝、奥野壮、柏木悠(超特急)、上坂樹里、倉沢杏菜、小宮山莉渚、志田未来、坂口涼太郎、永野宗典、MEGUMI、安達祐実、水野美紀、市村正親ほか
脚本:我人祥太ほか
主題歌:Ado「ルル」(ユニバーサルミュージック)
演出:瑠東東一郎、西岡和宏ほか
プロデュース:江花松樹
制作協力:ファインエンターテイメント
制作著作:フジテレビジョン
©フジテレビ
公式サイト:https://www.fujitv.co.jp/billion_t_school/
公式X(旧Twitter):@billion_t_sc
公式Instagram:@fuji_kin9_7
公式TikTok:@billion_t_sc

関連記事