『虎に翼』が突きつける戦争孤児問題 石田ゆり子「必要なだけここにいればいいわ」の思い

 最高裁長官の星朋彦(平田満)から東京家庭裁判所判事補に任命された寅子(伊藤沙莉)は、カフェー「燈台」でかつての同志であるよね(土居志央梨)と轟(戸塚純貴)と再会する。野ざらしにされている子どもたちの処遇をどうするのか。『虎に翼』(NHK総合)第57話で、寅子はうやむやとなっていた戦争孤児問題に向き合うこととなる。

 久しぶりに再会したよねと轟は自分たちで法律事務所を開き、子どもたちを保護していた。そんな様子を見た寅子は対策を練ろうとしていることを伝えると、よねから「どうせお前らも他のお役人と同じだ」と言われてしまう。多くの子どもたちが戦時中の空襲で親を亡くしてしまい、心に傷を負いながらも、ただ生きるために必死に生活してきた。それは上野で出会った孤児の一人である道男(和田庵)も同じだ。

 そんな時、カフェー「燈台」に多岐川(滝藤賢一)と汐見(平埜生成)がやってくる。2人に対してもあいかわらず横柄な態度をとるよねだが、轟のはからいもあって、なんとか円滑にやり過ごす。だが、よねは東京家庭裁判所を一切信用していない。寅子に向かって「お前に何ができる?」と語るよねの気持ちも十分にわかる。結局はお役所が語る言葉は綺麗事だらけということのほうが圧倒的に多い。けれど、寅子の子どもたちを助けようという思いは同じ方向を向いていることだけは分かっていてほしい。

 それは多岐川も同様だった。道男に「家庭裁判所は“愛の裁判所”だ」と語る多岐川の表情はかつてないほどに優しかった。ときには破天荒な行動で困らせることも多い多岐川だが、子どもたちに幸せになってほしいという思いは誰よりも強い。

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