『366日』笑顔と幸せに満ちた感動のフィナーレ 記憶を取り戻した遥斗が出した答え

 明日香も遥斗の存在に背中を押され、再び音楽と向き合った。高校の時、屋上で莉子と「さくらのうた」を演奏していた明日香。グラウンドで野球を練習していた遥斗は明日香が奏でるクラリネットの音に励まされ、その姿がまた明日香を奮い立たせた。そんな思い出が詰まった1曲を演奏し終わった明日香が顔を上げると、大阪に旅立ったはずの遥斗が視界に入る。

 明日香の足は自然と遥斗の方へ。「これからいろいろなことと闘っていかなくちゃいけないけど、心配もたくさんかけるかもしれないけど、俺、やっぱり明日香と一緒にいたい」という遥斗の言葉に、明日香は「それでもいい」と答えた。この先、どんな困難があったとしても「それでもいい」と思えるかけがえのない恋をした明日香。その結末は、この上ないハッピーエンドだった。1年前、自分たちの恋が動き出した場所で明日香と遥斗はキスを交わす。明日香にずっと片思いしていた和樹(綱啓永)でさえ願った、2人が一緒に笑い合う光景がそこにあった。

 物語の終盤、和樹はカメラを持って出かけた先で芽美(高田里穂)と再会し、笑顔で別れる。智也は軽トラで莉子を職場まで送り出し、お好み焼き屋「てるちゃん」では花音(中田青渚)と竜也(中沢元紀)が輝彦(北村一輝)や智津子(戸田菜穂)と笑い合う姿があった。なおチャリティーコンサートには、池沢も娘の菫(宮崎莉里沙)と駆けつけ、静原(前田公輝)がいつものようにちなみ(鈴木絢音)を愛おしく見つめる姿も。そうやって本作はHYの名曲をモチーフに、それぞれが様々な思いを抱えながら過ごす366日を描いてきた。笑顔と幸せに満ちた大団円は一人ひとりが、明日の自分が笑えるように今日を頑張った結果だ。

 そして物語は第1話の冒頭に映し出された2028年へ。一人で桜の木を見上げる明日香のもとに、息子を抱っこした遥斗が駆け寄る。今から4年後の私たちは果たして、どうしているだろうか。HYの「366日」は切ない失恋ソングとして知られているが、最終回を見終わった今、改めて歌詞を聴いてみると印象が少し変わってくる。〈本気であなたを思って知った〉〈あなたは私の忘れられぬ人 全て捧げた人〉というフレーズが物語るように、これは後悔がないほどに誰かを愛した人の歌だ。人生は嬉しいことばかりじゃない。この先、今追いかけている夢を諦めざるを得ない出来事が起きるかもしれない。好きな人と別れなくちゃいけない状況になるかもしれない。だけど、どんなことがあっても、最後は「十分やった」と笑えるように今を懸命に生きていきたい。ドラマ『366日』はそんなふうに思わせてくれる優しい物語だった。

■配信情報
『366日』
TVer、FODにて配信中
出演:広瀬アリス、眞栄田郷敦、坂東龍汰、長濱ねる、綱啓永、夏子、中田青渚、中沢元紀、清乃あさ姫、和久井映見、前田公輝、戸田菜穂、北村一輝
演出:平川雄一朗
脚本:清水友佳子
プロデュース:狩野雄太
主題歌:HY「366日」
制作協力:AOI Pro.
制作・著作:フジテレビ
©️フジテレビ
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