『虎に翼』岩田剛典、仲野太賀ら魅力的な男性陣 寅子が自分らしくいられるパートナーは?

 見事高等試験に合格し、弁護士への一歩を踏み出した猪爪寅子(伊藤沙莉)がお見合いをしようと決意する朝ドラ『虎に翼』(NHK総合)第7週。両親から勧められたお見合いに反発しようと家出を計画するも失敗、お見合いの場ではついつい話しすぎてしまったかと思いきや、いびきをかいて寝てしまったり。そんな記念すべき本作初回放送時の彼女の姿が懐かしく思い出される。その寅子が夢にまで見た弁護士への道を進みながらもお見合いをしようとするには、それ相応ののっぴきならない事情があるのだろう。

 さて、寅子にあからさまに好意を寄せているのは、花岡(岩田剛典)だ。本科で一緒に学んだクラスメイトで、紳士的に振る舞い女性人気も高かった。しかし、その裏には寅子はじめ女学生の勢いを恐れ、嫉妬に駆られる黒い感情や人間臭さを実は隠し持っていた。最初はそんな自分を認めたくはなく、“醜い感情”は人に知られてはいけないものだと蓋をしていた花岡だが、一切芯のブレない寅子たちに感化され変化していく。

 強くあらねばならない、人の上に立ち勝ち続けなければならない……そんなふうに誰からともなく教え込まれた自分像、男性像に忠実であろうとする花岡は、実はとてつもなく真面目で不器用な人間だ。そつがなくてスマートな振る舞いながらも、そこに“自分”はなく、「こうしてりゃいいんでしょ?」という正解通りを体現していた花岡よりも、そんな自分もひっくるめて現在地を認めた上で、“理想像”に向けてより良くありたいとするその“過程”も認められるようになった彼は、どんどん魅力的になっていく。

 花岡の仮面が剥がれると同時に、当初のイメージを刷新していったのが、同じクラスメイトの轟(戸塚純貴)だった。寅子らに「男と女が分かり合えるはずがないだろう」という第一声を浴びせたり粗雑で誤解を招きやすい言動が目立つものの、彼もまた“男たるもの女性や弱きを守る優しさを兼ね備えている必要がある”という価値観を自身に課し、愚直に体現していただけだった。実際には、彼が“漢らしさ”と思っていた優しさや強さは性別によらないことに気づくと、すぐさまそれを言葉にできる素直さを持ち合わせている。轟も、自分自身の中に湧き立つ正義心や、他人へのフラットな眼差しの中で発揮される優しさが、自分の性別由来ではなく、彼自身が持つ優しさや公平さだと気づき認められるようになり、もっと自由で頼もしくなった。

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