篠原涼子が持つ“笑いのDNA” 『イップス』を上質なミステリーコメディに昇華させた力量

 おやじ女子を演じて「かわいくて面白い」と絶賛の声があったラブコメ『ラスト・シンデレラ』(フジテレビ系)、反抗期の娘に嫌がらせのようにキャラ弁を作る母を演じた映画『今日も嫌がらせ弁当』(2019年)、そしてバカリズムが脚本を務めた映画『ウェディング・ハイ』(2022年)では、トラブル続きの結婚式を成立させようと奮闘するウェディングプランナーを演じた。彼女は、役柄によって振り回す役でも振り回される役でも、さらりと演じてしまう。

 そもそも“人を笑わせる”というのはとても難しいことだ。同じ台詞でも言葉のイントネーションや間(ま)の使い方によって、笑えるものも笑えなくなってしまう。しかし、篠原はそのあたりを熟知しているようにも感じる。それもそのはず。“笑い”において、篠原はある意味で英才教育を受けてきた。デビュー直後に伝説的なコント番組『ダウンタウンのごっつええ感じ』(フジテレビ系)にレギュラー出演し、人気バラエティーも数多く経験。そこで“人を笑わせるということ”を間近で見て、学んできたのだろう。だから、篠原涼子はコメディーでも心惹かれる演技ができるのだ。

 『イップス』でもそんな彼女の実力が遺憾なく発揮されているように思う。バカリズムの天才的な“受け”もあって笑いも増幅しつつ、彼女がいることで容疑者と対峙するラストシーンがグッと締まる。篠原は、コメディーに寄りすぎず、シリアスにもなりすぎないよう手綱を握り、本作品を上質な「ミステリーコメディー」に昇華させる役割を担っているのだ。

 篠原涼子がミコを演じているから面白い。ミコが篠原涼子だから面白いーー。次回第4話は、パティシエが舞台のドロドロ三角関係が!? バディとして本格的に動き出したふたりは事件にどう立ち向かうのか? 森野をモデルとして小説を書こうとしているミコが、どうイップスと向き合うのだろうか?

■放送情報
『イップス』
フジテレビ系にて、毎週金曜21:00~21:58放送
出演:篠原涼子、バカリズム、渡辺大知、味方良介、足立英、勝村政信、角田晃広、矢本悠馬、染谷将太
脚本:オークラ、森ハヤシ
演出:筧昌也
プロデュース:宮﨑暖
プロデューサー:熊谷理恵
制作著作:フジテレビ
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