『涙の女王』キム・スヒョンが3度目の旋風を起こす 手術の“代償”に戸惑うヘインとヒョヌ

 その後ヒョヌと共に渡独したヘインは、自身の手術に副作用があり、記憶を失うかもしれないことを知り絶望する。一方、ヘインの病状を掴んだウンソンは、ヘインが記憶を失うことを利用しようと、彼らのあとを追いドイツへ渡る。

 ヘインとヒョヌは、ヘインが記憶を失ったときのためにこれまでのことをそれぞれの想いを込めて記録として残すことにする。ヘインはノートにヒョヌへの愛を書き、ヒョヌはヘインへのビデオメッセージを録画するのだった。

 本作でキム・スヒョンが2012年『太陽を抱く月』、2013年『星から来たあなた』に続く、3度目のシンドロームを起こす中で、多くの人がヒョヌを愛してやまないのは、キム・スヒョンの演技が、大袈裟ではなく繊細で、一見無表情な中に込めた「感情の宝庫」を余すことなく魅せてくれるからだ。悲しみ、怒り、寂しさ、戸惑い、ときめき、愛、強さに弱さと、キム・スヒョンが演じるとき、観るものは彼と同じ感情を共有してしまう。彼が泣くと涙し、彼がときめくとこちらもキュンキュンし、酔うとかわいくなる姿に悶絶する。

 キム・ジウォンもまた、ツンデレなヘインの奥にある純真さと可憐さという、彼女が持つポテンシャルを最大限に発揮してみせている。キム・ジウォンにとって、ヘイン役はハマり役であり、彼女の俳優としてのキャリアを一段上のステージへと上げてくれるような運命的なキャラクターになったのではないだろうか。

 パク・ソンフンもまた、ヘインとヒョヌの前に立ちはだかるヴィラン、ウンソンとして物語を盛り上げ、視聴者に憎しみを抱かせることに成功している。ヘインに執着するウンソンの歪んだ愛は、母への愛と執着の投影のようでもあり、彼もまたモ・スリ同様哀しい人生を歩んだ人物だ。俳優パク・ソンフンの確かな演技力が実証され、ヘインとヒョヌの愛を引き裂こうとするウンソンの姿に怒り心頭させられる。

 物語は残すところ2話となり、ラストに向けてヒョヌとヘインに最大の危機が訪れた。ここからどんな風にストーリーが展開し、どれだけ感情を揺さぶられるのだろう。『涙の女王』が生み出した多彩な色を持つ涙の色を、最後までとことん味わい尽くし堪能したい。

■配信情報
『涙の女王』
Netflixにて配信中
出演:キム・スヒョン、キム・ジウォン、パク・ソンフン
原作・制作:パク・ジウン、チャン・ヨンウ、キム・ヒウォン
(写真はtvN公式サイトより)

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