ドラマ 10『燕は戻ってこない』の出演者会見が4月12日にNHK放送センターにて開かれ、主演を務める石橋静河をはじめ、稲垣吾郎、内田有紀、プロデューサーの板垣麻衣子が登壇した。

　本作は、桐野夏生による同名小説を『らんまん』の長田育恵が脚色を担当し映像化したノンストップ・エンターテインメント。お金も夢もない29歳のリキ（石橋静河）、元トップバレエダンサーで、自らの遺伝子を継ぐ子を望む基（稲垣吾郎）、その妻で、不妊治療をあきらめた悠子（内田有紀）。それぞれの欲望が、「代理出産」を通じて交差する模様が描かれていく。

　主演の石橋は「かなりデリケートで複雑なテーマの作品」である『燕は戻ってこない』について、「これ以上ない座組みで挑めることを幸せに思っております」と挨拶。

　続けて稲垣もこの作品をドラマ化することに「挑戦」だと口にしながら、「生殖医療」「地方出身の息苦しさ」「非正規労働者による若者の貧困」といった深刻な問題となっていることがテーマとして描かれていることに、「他人事ではないことでありますし、このドラマを必要としている方に一人でも多く届けられたらいいなって思いながら今撮影しています」と全10話で構成される本作が現在も撮影中であることに触れる。

　内田は、チャレンジングな本作を放送する上で、「いろんな意見がきっと出てくるかと思います」と前置きした上で、「女性だけでなく、男性も一緒に観ていただきたい」と呼びかける。「女性だけが行きづらいっていうのってちょっと違うかなっていう気もしていて、実は男性もいろんなことを思っているのではないかなと私は思っているので、この作品を通していろんな世代の方に寄り添えるように、心を運んで演じていこうと思っています」と悠子を演じる上での思いを語った。

　会見前には、マスコミ向けの第1話の試写会も行われ、劇中には「エッグドナー」（卵子ドナー）、「サロゲート・マザー」（夫の精子を第三者女性に人工授精して妊娠・出産を試みる行為）といった普段は聞きなれない専門用語も頻発する。その当事者の一人となるリキを演じる石橋は、「この作品を通して、私自身学んでいってる最中」だと素直に自身の立場を明かす。稲垣は「言い方が合っているかわからないですが、もうSFの世界のよう」だと例えながら、「みなさんとこうやっていろいろと考えられるきっかけになる、そういう場になるドラマになるんじゃないかなと思います」と希望を見出していた。

　石橋、稲垣と同じく、本作への参加を通じて勉強中だという内田は、「いろんな生き方、いろんな選択肢があるんだなということは少し勇気にもなったかなと思いました」と自身の思いを述べる。同時に原作小説を元にしながら、ドラマは長田による脚本でオリジナルとして進んでいく回もあり、それぞれのキャラクターが動いていく部分も見どころであると話した。