『虎に翼』「はて?」も定着なるか 「じぇじぇじぇ!」など朝ドラの名セリフを振り返る

 のちに日本初の女性弁護士となる寅子は、『あさが来た』(2015年度後期)の主人公・あさ(波瑠)に似ているかもしれない。あさは幕末から大正の時代に、銀行や生命保険会社を経営し、さらには女子大学を日本で初めて作った人物。言うなれば“職業婦人”の先駆けである。小さい頃から同年代の男の子の中にいても物怖じしなかったところや許嫁の新次郎(玉木宏)と結婚はしたが最初はあまり乗り気ではなさそうだったところなど、あさと寅子には成し遂げたことの大きさだけでなく、その人となりにも共通点が多そうだ。

 そんなあさは「びっくりぽん」が口癖。たとえば、あさの商人としての才能を見抜いていた五代(ディーン・フジオカ)が東京にできたばかりの東京商法会議所の視察にあさを誘った時も「びっくりぽんや」とあさは驚いて笑ってみせた。その後にあさにはいろいろ言いたいことが溢れてくるのだが、肝心の「東京商法会議所」がうまく発音できない。新次郎などそれを茶化す人もいたが、あさは「2つだけ、よう分かることがありました」と五代へ思っていることを朗々と語り始めたのだった。あさの口癖は明るく朗らかで、時にかわいらしい彼女の様子をうまく表しているだけでなく、知性があり、したたかなところを印象付ける役割も果たしていたのではないだろうか。

 きっと寅子が「はて?」と思うことはこれからもどんどん増えていくだろう。「言いたいことがあれば言いたまえ」と言ってくれた“偉い感じの人”穂高(小林薫)と出会った第2話では、寅子の中に「はて?」が浮かびすぎてポップな「はて?」ソングまでできていた。寅子の物語はまだまだ始まったばかり。「はて?」は寅子の名セリフとなりそうな予感がする。これからどんな「はて?」が飛び出すかも含めて楽しみにしていたい。

朝ドラ『虎に翼』登場人物紹介&あらすじ

2024年度前期、NHK東京が製作を務める『虎に翼』は、日本初の女性弁護士で後に裁判官となった一人の女性を描いたリーガルドラマ。…

■放送情報
NHK連続テレビ小説『虎に翼』
総合:毎週月曜〜金曜8:00〜8:15、(再放送)毎週月曜〜金曜12:45〜13:00
BSプレミアム:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜8:15〜9:30
BS4K:毎週月曜〜金曜7:30〜7:45、(再放送)毎週土曜10:15~11:30
出演:伊藤沙莉、石田ゆり子、岡部たかし、仲野太賀、森田望智、上川周作、土居志央梨、桜井ユキ、平岩紙、ハ・ヨンス、岩田剛典、戸塚純貴、松山ケンイチ、小林薫
作:吉田恵里香
語り:尾野真千子
音楽:森優太
主題歌:米津玄師「さよーならまたいつか!」
法律考証:村上一博
制作統括:尾崎裕和
プロデューサー:石澤かおる
取材:清永聡
演出:梛川善郎、安藤大佑、橋本万葉ほか
写真提供=NHK

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