『新空港占拠』最終回で生じた疑問と“続編”を考察 武蔵&大和のバディムービーに期待!

 櫻井翔主演のドラマ『新空港占拠』(日本テレビ系)が衝撃の最終回を迎え、最後は菊池風磨演じる青鬼/大和耕一の脱走という、続編を期待できる匂わせでドラマは終了した。いくつかの残された“宿題”を振り返り、次回作への期待を書いてみたい。

『大病院占拠』からの伏線を回収した見事な展開

 この3カ月間ノンストップで楽しませてもらった『新空港占拠』。前作『大病院占拠』で消化しきれなかった匂わせ、特に駿河紗季(宮本茉由)や丹波(平山浩行)など警察の裏切り者候補に挙がっていたキャラクターを「獣」として登場させるなど、視聴者の声にもしっかりと応えたことが今作の勝因だ。前作の構図をトレースし、一見同じような占拠事件の作りと思わせて犯罪集団の中での対立構造を新しく作ったことで、黒幕考察以外に最後まで展開が読めない面白さが加わった。

 そして前作の敵のリーダーである大和を登場させ、今作の謎が明かされていくことで、前作のさらなる背景が見えてくるという二重構造もファンの心を掴んだ要因だ。相変わらず爆破にも耐える櫻井翔演じる武蔵三郎の不死身ぶりも健在で、特に今回は精神的にも肉体的にも武蔵に容赦なく、理不尽な状況に陥るほど面白く、ライブ感を楽しめるドラマとなった。

 最終回は、鼠/新見大河(ジェシー)が暴こうとしている最後のウソ=真の山猫は誰なのか、そして大河の暴走を止めることができるのか、という2点が焦点に。最終決戦は「ホテル占拠」の様相となり、「総会の本当の目的は莫大なメタンの利権を山分けすること」「山猫は武蔵二葉(奥貫薫)」という真実が明かされるも、大河率いるケダモノは制圧された。Mプロジェクトは白紙に戻されたが、空港占拠事件についての世間の声は憶測のコメントばかり。つまり真実は公表されず、世間に委ねた獣たちの目論みは失敗に終わったと言える。

最終回で生まれた疑問点

 最終回の疑問点をいくつか挙げると、まず鼠/新見大河の行動だろう。皆殺しにすると人質を連れ「かながわ新空港促進協議会」の総会が行われる横浜ベイサイドホテルへと向かい占拠する。管理官の和泉さくら(ソニン)は、虎/丹波に大河を止める方法を聞くと「奴は配信にこだわっている。あいつの目的はただ殺すことじゃない、人質を殺す様子を配信で世間に見せつけること。配信を切ったら殺すことをしないはずだ」だと言う。

 大河は、もともと「社会的な制裁など意味がなく、殺すことが本当の裁きだ」と言っていただけに、配信とか世間の目は関係ないという考えの持ち主かと思いきや、ここにきて承認欲求の強い人物なのが判明。以前に「この国を牛耳ってるやつらをまとめてぶっころす」と言っていたが、姉の復讐はきっかけでしかなく、元々政治や社会に不満を持っていた人物ではないだろうか。

 それを裏付けるのは、姉の死に対しての復讐なら、まずは姉を自殺に追い込んだ白河会長(俵木藤汰)や米沢弁護士(長田成哉)が処刑すべき相手だろうが、2人はおそらく現在警察に確保され、会場にはいないはずなのに爆破をしようとしている。何に対しての復讐なのか? ジェシーがカッコいいだけにダークヒーローとして期待していたが、最後に疑問が残った。

『新空港占拠』で心残りなポイント

 そして武蔵の姉・二葉が二代目山猫になった経緯がまだハッキリしていない。

 二葉は「新たなエネルギー源を見つけない限りこの国に未来はない」と、Mプロジェクトは国を守るための必要な犠牲だと主張し、純粋な顔をして二代目山猫としてやる気満々なところが闇が深い。しかし、二葉が初代山猫から土地も利権も全て相続されるとなると、単純に秘書という関係ではとどまらない。誓約書にはハンコや血判などなく、捏造の可能性もあり、すべて二葉の策略であることも否定できない。

 また北見が最後まで二葉を庇おうとしていたが、どれだけ山猫に従事していたのだろうか。武蔵の兄・健一が300万を北見に要求したこと、健一の死もどこまでが本当なのか。二葉が二代目山猫になった経緯をもう少し深掘りしてほしかった。

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