そしてこのシーンは、岡崎紗絵の演技力が光った場面でもあった。絵里加は全くといっていいほど笑顔を見せない女性だが、それでも彼女のうちにある喜怒哀楽は手に取るようにわかる。それは、絵里加を演じる岡崎の声の変化、そして絶妙な表情の機微から想いが伝わってくるからなのだろう。台詞以上に全身で想いをぶつけてくる岡崎の演技は、絵里加の“必死さ”と良い意味で重なる。

　恋愛経験の豊富な真和に引け目を感じた絵里加は、真和との関係性を断とうとする。それでも、真和はまっすぐに絵里加と向き合い、4回目に会うことを打診する。真和が最後に「今村絵里加さん」と彼女の名前を呼んだのは、アプリの中の名もなき大多数から、絵里加がすでに特別な存在へと昇華され始めているからなのではないか。

　雄馬と奈美、多聞と栞の関係も前進し始めた第2話は、恋愛において大切なことを、静かに、しかし確かに伝えていた。このままハッピーエンドへ駆け抜けてほしいところだが、そんなことは愛が許してくれない。彼女はもはや真和にとってのトラブルメーカーともいえる存在になりつつある。

「誘拐するよ。あの子」

　絵里加との間に芽生え始めた“アイ”の予感、そして真和をどこまでも振り回す“アイ”……。真和が求めている“アイ”とは、本当のところどちらなのだろうか。次回の予告では「結婚」というワードが仄めかされていた。答えを明らかにする鍵は、第3話の中に眠っているのかもしれない。

■放送情報
『アイのない恋人たち』
ABCテレビ・テレビ朝日系にて、毎週日曜22:00～放送
TELASA、U‐NEXTにて、見放題配信
TVer、ABEMAにて、放送終了後見逃し配信
主演：福士蒼汰、岡崎紗絵、本郷奏多、成海璃子、前田公輝、深川麻衣、佐々木希
脚本：遊川和彦
演出：綾部真弥、吉川鮎太
音楽：平沢敦士
制作協力：ホリプロ
制作著作：ABCテレビ
©︎ABCテレビ
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