『ONE PIECE』なぜ再アニメ化? “25年後”ならではの強みとWIT STUDIOに期待されるもの
尾田栄一郎による人気マンガ『ONE PIECE』が、WIT STUDIO制作のもと新たなアニメシリーズとして再始動することが発表された。同作のアニメといえば、1999年10月から25年のあいだ、東映アニメーションによって制作されてきたが、なぜ今になって再アニメ化されるのだろうか。
本稿ではその理由についてさまざまな角度から分析しつつ、新アニメ『THE ONE PIECE』の注目ポイントを探っていこう。
12月17日に発表された情報によると、『THE ONE PIECE』は「東の海(イーストブルー)編」の原作1話から完全新作映像でアニメ化されるとのこと。作品はNetflixなどで配信される予定だという。
また製作委員会のコメントには、「今だからこそ可能な表現を突き詰め、ルフィの冒険を懐かしくも新しい感覚でお目にかけたい」といった想いも綴られている。『進撃の巨人』(Season3まで)や『SPY×FAMILY』など、現代の最高水準のアニメを作ってきたWIT STUDIOによって、いわば“令和最新版”の『ONE PIECE』を提供しようという試みなのではないだろうか。
そうした挑戦のタイミングとして、今はこの上ない好機と言える。2022年には、人気歌手のAdoを起用した劇場アニメ『ONE PIECE FILM RED』がシリーズ最高の興行収入を叩き出すほどの大ヒットを記録。2023年8月からは、尾田が直々に監修した実写ドラマ版『ONE PIECE』がNetflixで配信され、国外でも大きな注目を集めることとなった。いずれも物語としては単品で完結しており、予備知識がほとんどなくても楽しめる作りなので、新規ファンや若い年齢層にもってこいの作品だった。
しかし本編への入り口となるはずのアニメ版は、すでに1080話以上が放送されているため、いくら作品に興味を抱いても気軽には視聴できないだろう。「東の海編」からあらためてアニメ化し、「ここから観れば大丈夫」というお墨付きを公式が与えてくれることの意義はとても大きい。
『ONE PIECE』が始まった当時と今では、ジャンプ作品をアニメ化する際のやり方も大きく変わっている。原作と並走しながら長期スケジュールでじっくりアニメ化する昔ながらのスタイルもいいが、『鬼滅の刃』や『呪術廻戦』のようにコンパクトに作品をまとめれば、新規ファンがもっと入りやすくなるはずだ。
さらにタイミングの話としては、原作漫画の完結が見えてきたことも理由の1つとなっているかもしれない。尾田は数年前から『ONE PIECE』の物語が終盤に近付いていることを度々語っており、2022年7月には最終章突入が宣言されていた。まだまだ物語は続きそうではあるものの、完結時期の見通しがある程度付いたからこそ、再アニメ化の企画が動き始めた……とも考えられそうだ。