小野賢章、内田真礼の演じ分けを絶賛 劇場版『はめふら』は「きっと笑顔になれる作品」
累計発行部数600万部を突破した山口悟の小説を原作に、2期にわたってTVアニメ化された『乙女ゲームの破滅フラグしかない悪役令嬢に転生してしまった…』(以下、『はめふら』)が、今度は劇場版となって公開された。
転生した異世界でゲームの悪役令嬢になっていたことに気がついたカタリナ・クラエスは、破滅に至るフラグをくぐり抜けただけでなく、攻略対象のイケメンたちや、本来のヒロインも味方につけ、平和な日々を送っていた。そこに、遠く離れた異国から商人の一行がやってきて、カタリナの身に大事件が起こる。
原作者による完全新作ストーリーとなる劇場版『はめふら』で、主役のカタリナを演じる内田真礼と、商人の一行に混ざってやって来た異国の少年アーキルを演じた小野賢章に、劇場版の見どころなどを聞いた。
小野賢章「初めての現場という感じがしなかった」
ーー『はめふら』が劇場版になると決まった時に、どのように思われましたか?
内田真礼(以下、内田):もう本当にめちゃめちゃ嬉しかったです。第2期が終わって劇場版が決まったのがすぐだったので、ここまで結構待ちました。もう2年くらい経っているんですよ。私自身も待ち焦がれていたので、こうして公開を迎えられて嬉しいです。久しぶりにカタリナが動いているのを観て感極まりました。
ーー小野さんは、劇場版『はめふら』に参加すると決まってどう思われましたか?
小野賢章(以下、小野):『はめふら』という略称は何となく知っていて、「すごいタイトルだなぁ」という印象を持っていましたが、内容は今回参加するまで知りませんでした。
ーーストーリーや内容を知った今はどうですか?
小野:タイトルのインパクトがすごく強くて、「悪役令嬢」という言葉があって「破滅フラグ」という言葉もありますから、結構ドロドロとした内容かなと勝手に想像していたら、すごく明るくてハッピーになれる作品でした。
ーー今回は完全新作ストーリーですが、台本を読んでどんな印象を受けましたか?
内田:劇場版ならではの大きな表現がいっぱいありましたね。あと、私の場合はアフレコのVチェックをしていて、笑ってしまったシーンが結構ありました。劇場だからできることがふんだんに入っているなと思いました。ストーリー的にも1つの作品として完結したお話になっているので、『はめふら』なんだけど夢のようなお話といった感じがしました。
ーー内田さんが演じてきたカタリナの魅力が、『はめふら』の面白さの芯になっているように思います。内田さんはカタリナの魅力についてどのように感じていますか?
内田:カタリナは、TVシリーズの第1期で物語の世界にやってきた時から、ずっと変わらず目標に向かってまっすぐな人です。思い立ったら吉日といった感じで、野菜を育ててみたり、できることから始めようとする人。誰でも真似ができるようなことで頑張っているところが応援できるポイントだと思います。
ーー本当に頑張り屋ですからね。
内田:カタリナは強い魔法が使えるわけでもないですし、他のこともあまり得意ではありません。できることといえばパワフルに動くこと。ギミックのないアナログな魅力がある人かなと思います。強い主人公でないからこそ、他の人たちと繋がっていって、そうした人たちが手に入れられない部分を与えることができる存在なんです。「人対人」のようなコミュニケーションができる人だから好かれるのだと思います。カタリナが苦労すればするほど、『はめふら』って面白いと思うんですよ。他の人たちが優雅であればあるほど、カタリナが努力するという対比があって、それは劇場版でも活きています。
ーー小野さんが演じられたアーキルはどのようなキャラクターですか?
小野:はっきりとした目的を持っているキャラですね。そのことが中盤から終盤にかけて分かってきて、通して見ると目的のためには何でもやろうとする奴だったんだと思いました。体当たりで人にぶつかっていって、壁をドーンとぶち破っていくカタリナとは真逆ではあるけれど、それでも周りの人を彼なりに大事に思っていて、劇中のような行動を取ってしまう優しい人間だと感じました。
ーー動物を世話する時のアーキルは本当に優しそうでした。
小野:人に対しては割とぶっきらぼうというか、あまり素直になれない部分があるんですけれど、動物に対してはとても表情豊かに接することができるキャラですね。それも含めて、ところどころに優しさが垣間見えるのがアーキルの魅力かなと思いました。
ーーアーキルは、王宮を訪ねたり芸を見せたりしている時はとても明るい雰囲気です。小野さんが演じる際、ぶっきらぼうなアーキルと、社交的なアーキルのどちらを主と捉えていたのでしょう?
小野:やはりぶっきらぼうなほうが本当のアーキルだと思っています。王宮で明るく振る舞っているアーキルは、商隊でやっているショーという感覚で演じました。
ーーアフレコで収録していた楽しかったことや、苦労したことがあれば教えてください。
小野:収録はすごく楽しかったですね。自分は劇場版で加わった村瀬歩さんたちと一緒に収録しましたが、共演したことがある人たちばかりということもあって、初めての現場という感じがしなかったです。
内田:和やかでしたね。アフレコの合間もみんなで喋っていました。
小野:セリフで「ラーニャム」という愛の言葉があるんですけど、最後の一番大事なシーンでそれを言うときに、収録で「ニャーラム」と言ってしまって(笑)。「猫になっちゃったね」って。
内田:そのシーンの前に、みんなで「どういう発音なんだろう?」という話をしていたんですけど、それに集中したら逆に考えすぎて間違えてしまって……。
小野:やっちゃったなって感じでしたね。
内田:和みましたね。
ーー『はめふら』チームに新しい共演者が加わったことについて、内田さんはどのように感じましたか?
内田:よく知っているキャラクターたちの声とは別の声が聞こえてくるので、目が覚めるような感覚がありました。それから、第2期の時はコロナ禍で、ほとんど皆さんと一緒には録れていなかったんです。だから、みんなで収録する感じがとても新鮮で楽しかったです。
ーー『はめふら』ファミリーを小野さんはどのようにご覧になりましたか?
小野:キャラクターたちの関係性そのままというか、真礼ちゃんが突き進んでいくのをみんなで後ろから支えているような印象がありましたね。引っ張っていってくれている感じです。