水上恒司は“とんでもないところ”まで行く! 『ブギウギ』で任される大きな役割とは?

 本作の公式ガイド『連続テレビ小説 ブギウギ Part1』(NHK出版)にて水上は、「愛助を演じるうえで考えたのは、“スズ子にとって最愛の人をどう作っていくか”です。スズ子のことをいちばんに応援する愛助は、彼女の最愛の男性であり、生きていくうえでの原動力でもあります。大スターである福来スズ子が、生涯その人しか愛せなかったというくらいの男ですから、愛助ならこんなときどうするだろうと、いろいろ考えてお芝居に取り組む毎日を送っています」と述べている。たしかにこの村山愛助という人物は、広く多角的な視点から演じなければならないものなのだろう。物語の途中からの最重要人物の登場だというわけで、これにより作品の手触りは変わってくる。すでに記したふたつの大きな役割以外にも、水上が担わなければならないものはいくつもあるのだ。

 さて、そんな大役を任された水上だが、デビュー作『中学聖日記』(TBS系)からの俳優としてのキャリアはまだ5年しかない。同作では担任教師に恋をする中学生の役に扮し、まだ社会のことをほとんど知らない青年の純真無垢な真っ直ぐさが、まだ特別な技術を持たない水上の瑞々しい演技とマッチしていた。彼以外にあの役を演じられた俳優は思いつかない。

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 そしてこの5年のうちに水上は、『MIU404』(TBS系)や『望み』(2020年)、NHK大河ドラマ『青天を衝け』、『そして、バトンは渡された』(2021年)、月9ドラマ『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)などなど、いくつもの話題作に主要な役どころで出演し、着実にキャリアを重ねてきた。そしていまでは『死刑にいたる病』(2022年)や『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』(2023年)で主演俳優として堂々と作品の看板を背負えるレベルにまでになった。もうそこにはかつての瑞々しさはない。

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 けれども『ブギウギ』での初登場シーンを目にした際、またかつてのあの瑞々しさを感じた。これは水上の技術によるものなのだろうか。それとも初の朝ドラの現場で初心にかえることができたのだろうか。それは今後の展開を追わなければ見えてこない。先述した公式ガイドにて水上は、愛助の軸にあるのは「スズ子への愛」だと語っている。これをどう体現し、“水上恒司=村山愛助”はどう変化していくのか。これしだいで「水上恒司はとんでもないところまで行く」のだ。

■放送情報
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』
総合:午前8:00〜8:15、(再放送)12:45〜13:00
BSプレミアム・BS4K:7:30〜7:45、(再放送)11:00 〜11:15
出演:趣里、水上恒司、草彅剛、蒼井優、菊地凛子、水川あさみ、柳葉敏郎ほか
脚本:足立紳、櫻井剛
制作統括:福岡利武、櫻井壮一
プロデューサー:橋爪國臣
演出:福井充広、鈴木航、二見大輔、泉並敬眞、盆子原誠ほか
写真提供=NHK

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