『下剋上球児』は男性中心の価値観を脱する 黒木華、井川遥らが担う役割

 白球を追うスポーツ。野球を通して、教師は本当の意味で教師になり、生徒は大人への階段を昇っていく。『下剋上球児』(TBS系)第3話では、胸騒ぎのする出来事が続き、野球部の前途に暗雲が立ち込める。

 「僕は本物の教師ではありません」。南雲(鈴木亮平)の衝撃の告白に、戸惑いを隠せない山住(黒木華)。同じ頃、バッティングセンターで、南雲のクラスの生徒で野球部主将の日沖(菅生新樹)の弟の壮磨(小林虎之介)が、サラリーマンに暴力をふるったと連絡が入る。1人でバッティング練習をして、酔った乙津(谷恭輔)に絡まれた野球部の椿谷(伊藤あさひ)をかばってのことだった。

 甲子園予選まであと50日。壮磨の対応もありグラウンドに出られない南雲に代わって、山住が横田(生瀬勝久)と練習を見ることになった。練習試合は負け続きで、部員たちもやる気がない。自責の念から椿谷はミスが増えた。停滞ムードが漂う中、傷害事件の真相が明らかになった。

 つかみ合いになった乙津と壮磨の間に日沖は割って入り、その衝撃で乙津は倒れ込んだ。それを見た壮磨は自分がやったと名乗り出た。1人黙々と練習する日沖を壮磨は馬鹿にしていたが、兄への思いがとっさの行動を取らせた。真相を知った南雲は乙津と会い、寛大な処置を求める。壮磨の処分は解けたが、日沖は責任を感じて主将を辞任すると申し出た。それを押しとどめたのは部員たちだった。

 第3話は、顧問である山住の視点を借りて進行した。渦中の人物である南雲をそばで支えながら、その実、誰よりも野球への情熱をたぎらせる山住は、越山高校、通称“ザンコウ”のサクセスストーリーを間近で見聞している。その意味で、山住を通して物語を追うことは理にかなっているが、語り手兼物語の主軸を担うポジションに女性キャラクターを配置したことに、作り手の意欲を感じた。

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