朝ドラ『ブギウギ』蒼井優の“物言わぬ美しさ”が魅了する 礼子とアオイの振る舞いに宿る説得力

 歌って踊っている時が一番楽しいことに気がついた鈴子(澤井梨丘)。花咲音楽学校の受験に失敗し、落ち込んでいる彼女を鼓舞してくれたのは梅丸少女歌劇団(USK)のレビューショーだった。

 そして、小学校卒業後の1927年4月。『ブギウギ』(NHK総合)第2週「笑う門には福来る」より、晴れてUSKに入団した鈴子の研究生としての日々が始まる。初日の放送となる第6話で描かれたのは、鈴子に多大な影響を与えていく憧れの先輩との出会いだ。

「強く、たくましく、泥臭く、そして艶やかに!」

 OSK日本歌劇団をモデルにしたUSKは、鈴子の入団から5年前に発足。美しさと華やかさが売りの花咲少女歌劇団に対して、力強さとたくましさを売りとしている。そんなUSKの二大トップスターは、男役の橘アオイ(翼和希)と娘役の大和礼子(蒼井優)だ。鈴子が梅吉(柳葉敏郎)と共に観に行った演目「胡蝶の舞」でもメインを張っていた2人。 艶やかな黒いアゲハ蝶と純白のモンシロ蝶を表現した衣装で披露する彼女たちの舞は対照的である。一本軸の通った力強いアオイの舞に、どこか掴みどころのない優雅な礼子の舞。それはそのまま2人の性格にも当てはまる。

 鈴子たち研修生に生活態度や稽古場の掃除など、まずはUSKにおける基本的なルールを徹底的に叩き込んでいくのは新人教育係に任命されたアオイの役目だ。観ているこちらも背筋がシャキッとするほど、強烈な叱咤を飛ばすアオイ。演じる翼和希は、NHK大阪で放送された『「ブギウギ」スペシャル』において、「普段はあんな怒り方はしない」とした上で、「(アオイは)第1期生ということもあり、先輩方がいらっしゃらない状況下で一から劇団を育てていかなければならない責任感というものは計り知れないものがあったと思うので、その責任感からくる劇団愛。劇団愛からくる厳しさにつながっていくのかなと台本をいただいた時に第一に思いました」と語っていた。

 そんな翼はOSK日本歌劇団に所属する現役の男役スター。今作がテレビドラマ初出演だが、自ずと舞台上でのパフォーマンスだけではなく、その芝居にも説得力が滲み、まだ発足からわずかで単独公演を目指すUSKの後任指導に当たるアオイの責任感や芯の強さがひしひしと伝わってくる。

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