『死霊館のシスター 呪いの秘密』北米No.1 DC映画『ブルービートル』が思わぬ健闘
9月に入り、ハリウッドの映画興行も秋に突入した。サマーシーズンからほとんど切れ目なしに始まった秋興行だが、先週の『イコライザー THE FINAL』に続き、今週は『死霊館』ユニバースの最新作『死霊館のシスター 呪いの秘密』が初登場。9月8~10日の週末ランキングで見事No.1に輝いた。
2013年に始まった『死霊館』ユニバースも今回で9本目。『死霊館のシスター』(2018年)の続編となる本作には、1956年を舞台に、前作のシスター・アイリーン(タイッサ・ファーミガ)が再登場。新たに『search/#サーチ2』(2023年)のストーム・リードも出演する。監督は『死霊館』ユニバースで『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』(2019年)、『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』(2021年)を手がけたマイケル・チャベスが務めた。
本作は3日間で3260万ドルを記録し、『死霊館』ユニバースでは『アナベル 死霊館の人形』(2014年)や『アナベル 死霊人形の誕生』(2017年)に並ぶ滑り出し。前作『死霊館のシスター』の5380万ドルには及ばなかったが、メインシリーズの最新作『死霊館 悪魔のせいなら、無罪。』がコロナ禍を加味しても2410万ドルにとどまったことを鑑みると、ワーナー・ブラザースの期待には十分応えたといえる。
しかしながら、この映画もストライキの影響を受けたことは想像に難くない。『死霊館』が一種のイベントシリーズであること、映画館に足を運んだ観客の67%が18歳~34歳という若年層であることを踏まえれば、ファーミガとZ世代人気の高いリードがプロモーションに全面参加していれば、より優れた成績を叩き出せた可能性は高いからだ。
『死霊館のシスター 呪いの秘密』はRotten Tomatoesにて批評家スコア46%・観客スコア75%を記録。出口調査に基づくCinemaScoreは「C+」評価となったが、反応が分かれがちなホラー映画はどうしても評価が低く出てしまいがちだ。今後の北米興行は、むしろSNSなどでの熱心な口コミが左右することになるだろう。
なお、本作は海外69市場で興行収入5270万ドルを稼ぎ出し、世界累計興収は8530万ドルを記録。メキシコではホラー映画としてコロナ禍以降最高のオープニングとなるなど、上々の成果をあげている。製作費は3850万ドルと伝えられており、劇場公開での黒字化はほぼ確実だ。日本では10月13日公開。
前週の第1位だった、デンゼル・ワシントン主演『イコライザー THE FINAL』は、『死霊館のシスター 呪いの秘密』に敗れて今週は第2位となった。3日間の北米興収は1210万ドルで、気になるのは前週比-65%という大幅下落となったことだ。2週目の数字が落ち込みやすいスーパーヒーロー映画でも65%減はかなり厳しいが、以前は「スーパーヒーロー映画」によく見られていた“2週目のジンクス”が、いまやシリーズ/ユニバース映画のジンクスになりつつあるとも考えられる。
もっとも、『イコライザー』第3作は海外でもじわじわと興行成績を伸ばしており、現時点で北米興収6186万ドル、海外興収4580万ドルで、世界累計興収は1億ドルを突破。過去2作の世界興収は1億9000万ドル前後とあって、ここにどう迫るかがポイントとなる。
第3位にランクインしたのは、ロマンティックコメディ映画『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』(2002年)のシリーズ第3作『My Big Fat Greek Wedding 3(原題)』。2016年の第2作は日本未公開となったが、今回は7年ぶりの続編で、シリーズの主演・脚本を務めてきたニア・ヴァルダロスが監督も兼任した。
本作は3日間で1000万ドルを記録。今では集客に苦戦しやすい“大人向けの恋愛コメディ”だが、まずまずの初動で、スタジオによる期待通りのスタートとなった。Rotten Tomatoesでは批評家28%・観客72%。CinemaScoreでは「B」評価となった。
ちなみに『マイ・ビッグ・ファット・ウェディング』第1作は、原作舞台をトム・ハンクス夫妻が鑑賞したことがきっかけで映画化が実現したもの。その後の縁もあるためだろう、第2作と今回の映画にもハンクス夫妻はプロデューサーとして名を連ねている。