そんなレンには、少々変わった趣味が。マンホールや建物、トンネルやガードパイプが好きなのだ。人が気づかないようなところにも目が行くレンは、「クノウトトノウ」（久能整）の名前の中に「ノウト」という言葉が2つ隠されていることに気づいたかと思えば、「ライオンとサメとクマ、食べられるならどれがいい？」とユニークな質問を投げかけ、徐々に整の心を掴んでゆく。整とレンは、独特の視点と個性でどこか息が合う様子。2人だけの世界で盛り上がっていくさまを、志尊と菅田の芝居の応戦が作り上げていく。この崇高で不思議な友情こそが、『ミステリと言う勿れ特別編』での大きな見どころだろう。これまでも整は、ライカ（門脇麦）や我路（永山瑛太）など一筋縄ではいかない人物たちと、独特の関係性を築いてきたが、社交的なレンに押され気味の関係もこれはこれで味わい深い。

　加えて、「タイムカプセル編」では胸を締め付けるような切ないエピソードも印象的だった。秋のはじまりのこの季節。徐々に風の匂いが変わる風情に、四季と恋を絡めたエピソードを盛り込んでくる演出がにくい。そして物語のラストには、レンが気付いていた整の“ある気持ち”がキーになり、レンの思いがけない優しさを知ることに。

　劇場版『ミステリと言う勿れ』は間もなく公開される。『ミステリと言う勿れ特別編』での充実感を胸に、整が立ち向かう新たなミステリも堪能したいところだ。

■放送情報
土曜プレミアム映画公開記念『ミステリと言う勿れ特別編』
TVerにて配信中
出演：菅田将暉、伊藤沙莉、尾上松也、志尊淳、内田慈、山脇辰哉、鈴木浩介、筒井道隆、遠藤憲一ほか
原作：『ミステリと言う勿れ』田村由美（小学館『月刊フラワーズ』連載中）
演出：松山博昭
脚本：相沢友子
音楽：Ken Arai
プロデュース：草ヶ谷大輔
主題歌：King Gnu「カメレオン」
制作：フジテレビ ドラマ・映画制作部
制作著作：フジテレビジョン
©︎田村由美／小学館 ©︎フジテレビ
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