そんな我修院が“教師になった理由”として九条に語る、「先生かっこいいと生徒たちから言われたかった」という願いを叶える生徒の蓬田（夏生大湖）もまた、今回のエピソードで急浮上した存在であろう。鵜久森の一件について考え、向き合うことと、それが大学の推薦入試や自分の未来へと影響してしまうことへの危惧。それらのバランスの難しさと、それでも譲れないなにかがあるということに、毅然とした答えを見出せないことに蓬田の言葉で気付かされる生徒たち。この一連は、答えのないものに対して“向き合う”ことの朧げさと、朧げだからこその向き合う意義を示していたように思える。

　こうして1人の生徒の不可解な死をもって、教師が生徒たちに“考えること”と“向き合うこと”の時間を与える今回のエピソードからは、改めてこのドラマが『3年A組 ―今から皆さんは、人質です―』（日本テレビ系）のテイストに回帰したようにも感じ取れる。そうなると、ラストで東風谷（當真あみ）の家を訪ねる星崎（奥平大兼）が見せる、事件当日に制服姿の浜岡（青木柚）が学校に来ている姿を記録した監視カメラ映像が、どことなく『3年A組』終盤の主要テーマであった“ディープフェイク”なのではないかと勘繰ってしまわずにはいられないのだが、はたしてどうなのか。

■放送情報
新土曜ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』
日本テレビ系にて、毎週土曜22:00〜放送
出演：松岡茉優、芦田愛菜、奥平大兼、加藤清史郎、當真あみ、茅島みずき、山時聡真、本田仁美（AKB48）、窪塚愛流、福崎那由他、田牧そら、山下幸輝、寺本莉緒、萩原護、詩羽、田中美久（HKT48）、浅野竣哉、丈太郎、柿原りんか、橘優輝、莉子、田鍋梨々花、夏生大湖、藤嶋花音、岩瀬洋志、阪本颯希、岡井みおん、藤﨑ゆみあ、のせりん、川本光貴、白倉碧空、細田善彦、長井短、サーヤ（ラランド）、吉田羊、犬飼貴丈、荒川良々、松下洸平
演出：鈴木勇馬
プロデューサー：福井雄太、鈴木努、秋元孝之
チーフプロデューサー：田中宏史
主題歌：菅田将暉「ユアーズ」
制作協力：オフィスクレッシェンド
製作著作：日本テレビ
©日本テレビ
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